新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は12月20日、今春公開予定の「NEDO燃料電池・水素技術開発ロードマップ」第四版のうち、燃料電池分野について先行公開。2040年以降に達成すべき目標値(究極目標)を初めて設定した。
そのうち「FCV・移動体」については、2040年頃のFCV普及目標を、燃料電池実用化推進協議会(FCCJ)が発表したシナリオと同じ300~600万台に設定。これを達成するため、フルFCシステムの乗用車(耐久性は商用車も含む)を対象として、航続距離1000km以上、スタック出力密度9kW/L、最大負荷点電圧0.85V、作動最高温度120℃、FCシステムコスト0.2万円/kW、水素貯蔵システムコスト10万円、といった究極目標の数値を定めている。
この技術的背景としてNEDOは、
・FCVを多車種展開するには現在のガソリンエンジンと同等の出力を同じスペースで達成する必要があり、そのためにはFCの出力密度を現在の約2倍、かつラジエーターを約半分に小型化しなければならない
・そのために、ラジエーターの作動温度を120℃に上げて放熱効率を高めるとともに、FCの最大負荷点電圧を0.85Vとして発電効率をアップしFCからの廃熱を低減する
ことなどを掲げている。
これら目標の達成によりNEDOは「自動車に積載する燃料電池の小型化と高性能化が進み、多数車種への拡大が期待できる」としているが、FCCJが2050年の目標としている800~1600万台の達成には、FCVのみならず水素ステーションのさらなるコスト削減、普及拡大が必要不可欠となる。