NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、石炭火力発電所から排出されるCO2を有効利用するための技術開発2テーマに着手すると発表した。この技術開発では、CO2有効利用技術を用いた有価物製造プロセスや全体システムについて検証評価を行ない、将来有望なCO2有効利用技術の確立を目指すという。
自動車の世界では、急速なEVシフトが昨今の話題になっている。EVは、テールパイプエミッションでは、もちろんエミッションゼロ。CO2を排出しないが、EVで使用する電力をどう作り出すか、にも注目が集まり始めている。ウェル・トゥ・ホイール(WtW)で見たときのエネルギー効率という観点も重要になってきているからだ。
(以下プレスリリースより)
供給安定性および経済性に優れた天然資源である石炭を利用した火力発電は、将来的にも国内の発電供給量の26%を担う重要な電源だ。しかし、これら石炭火力発電ではCO2排出量が比較的多く、経済成長と気候変動対策を両立するための取り組みとしてCO2有効利用(CCU)技術が検討されている(CCUとはCarbon Capture and Utilizationの略称)。
2016年6月に次世代火力発電の早期実現に向けた協議会で策定した「次世代火力発電に係る技術ロードマップ」でも、2030年度以降を見据えた取り組みとして、CCU技術の確立が重要とされている。
このような背景のもと、NEDOは石炭火力発電所から排出されるCO2を有効利用するための技術開発2テーマに着手する。この技術開発では、CO2有効利用技術を用いた有価物の製造プロセスや全体システムについて検証を行なう。
これら取り組みを通じて、将来有望なCCU技術の確立を目指す。
採択テーマと委託予定先
(1)CO2有効利用技術開発
石炭火力発電所などからの排ガス中に含まれる高濃度CO2と、再生可能エネルギーの電力を利用して製造される水素を用いて、メタンを生成し有効利用する技術など、有望なCCU技術について、CO2有効利用技術を用いた有価物の製造プロセスやシステム全体の調査および検証試験を通じて、技術の適用性の総合評価を行なう。
【委託予定先】
一般財団法人エネルギー総合工学研究所、公益財団法人地球環境産業技術研究機構、国際石油開発帝石株式会社、JFEスチール株式会社、日立造船株式会社
(2)CO2を利用した陸上養殖技術の研究開発
石炭火力発電所からの排ガス中に含まれる高濃度CO2を効率的に海水に溶解させ海藻を培養する、陸上養殖製造プロセスの確立に関する調査研究を行なう。
【委託予定先】
NECソリューションイノベータ株式会社