熱可塑性樹脂同士の接合における新しい方策。ねじり振動タイプ溶着は、重量削減に大きく寄与する技術で、これからの展開にも期待が大きい。
マグナは、自動車メーカーの重量とコスト削減に寄与するねじり振動タイプ溶着という新しい熱可塑性プラスチックの溶着技術を開発した。
このねじり振動タイプ溶着プロセス (原文:Torsional welding) は、プラスチックの新しい溶着技術。接合する樹脂製のワーク同士を加圧接触させ、高速の往復回転振動を与えることにより摩擦熱を起こすことで溶着する仕組み。熱可塑性樹脂同士の溶着に応用できる。薄肉材質を溶着できるため約10%の重量削減が可能、材質コスト削減にもつながる。ボルト/ナットなどの機械的な接合部品、接着剤などのバインダなどが不要。ワークに熱を与える必要もないため、エネルギーの面からも部材保護の視点からもメリットが大きい。
今回マグナは、プラスチックブラケットを熱可塑性プラスチックのフェイシアに接合している。具体的には、現在チェコ共和国リベレツにあるマグナの外装部門の工場で、シュコダ・オクタヴィアのフロントフェイシアに適用した。
自動運転機能の増加に伴い、センサーの装着でフェイシアの重量は増える傾向にある。このねじり振動タイプ溶着の採用により外装の重量削減やブラケットの省略が図れ、重量に大きく影響することなくセンサーの装着が可能になる。先進運転支援システムの増加や自動運転車の開発と共に、このねじり振動タイプ溶着の採用が期待される。
SPE (The Society of Plastics Engineers) デトロイト支部は、ミシガン州トロイでのTPOコンファレンスで、マグナのねじり振動タイプ溶着に対し、イノベーションアワードを授与した。マグナエクステリアのプレジデントであるGrahame Burrowは「デザイン・材質から軽量化を実現する技術まで、お客様の軽量化目標を満たすサポートができるようあらゆるチャンスを逃しません」とし、「SPEからのねじり振動タイプ溶着への認知に対し感謝を示すとともに、この革新的プロセスが広く採用されることを期待しています」とコメントしている。