徹底試乗比較 選ぶべきはハイブリッドorガソリン?
TOYOTA/HARRIER
トヨタ/ハリアー(80系)
今回のモデルチェンジで、これまでガソリン車に用意されていた2.0Lターボがなくなり、2.0Lガソリン、2.5Lハイブリッドのそれぞれに。両車ともに2WD/4WDを設定するが、気になる走りはどう変わったのか?公道試乗で、それぞれの違いを比較検証してきた。
挙動が少なくソフトな印象高級セダンのような乗り味に
新型ハリアーの土台となっているのは、RAV4と同じGA-Kプラットフォーム。低重心であることが特徴で、シートの着座位置も従来型ハリアーより少し低くなっており、乗り降りしやすくなっている。
パワーユニットは2.0Lのガソリンエンジン+ベルト式CVTと、2.5Lエンジンと電気モーターを組み合わせたハイブリッド仕様を用意。この車格で2.0Lというと頼りなく思う向きもあるかも知れないが、直噴とポート噴射を組み合わせたD-4Sシステムや、超ストレート吸気ポートなどの効果によって、最高出力は126kW(171ps)。2代目ハリアーの2.4Lエンジンが118kW(160 ps)だったことを考えると、まったくの杞憂であることがわかる。
実際に試乗してみても、発進加速はクルマが軽く感じるほど力強く、ドライバーが望んだ加速力は期待通りに得られる。そこには新CVTが貢献していることにも注目したい。
新型ハリアーに搭載されるCVTは、“ダイレクトシフトCVT”というシステム。これまでのベルト式CVTに対し、発進〜低速用にギヤ伝達系を配置し、2速相当から上をベルト伝達で行うのが特徴だ。ベルト式CVTには、低速側や高速側になるほど伝達効率が低下するという特徴がある。効率が低下するということは、エンジンで発生したトルクを食われてしまうということで、それが最も大きくなるのが発進の際。そこをギヤ伝達で行うようにしたから、トルクを無駄なく生かせ、発進加速が軽く感じられるのだ。
乗り心地もしっとりしており、低速域でも不快な突き上げはまったくなし。テイストとしてはソフトな部類だが、だからといってブレーキング時にノーズダイブが大きかったり、旋回時に過大なロールでびっくりすることもない。落ち着きのあるボディの挙動は、日本舞踊のすり足を思わせる。
ハイブリッド仕様は、ガソリン車より上級感のある乗り味。バッテリーの充電状態が良いときにはエンジンを止めてEV走行を行うが、その際の静粛性も抜群だ。
乗り心地や操舵応答はガソリン車同様、全般的にしっとりとしたテイストだが、車重が約90㎏重いHVのほうが、ピッチング方向の挙動がゆったりとしている。HV車同士の比較では、約60㎏軽量な2WDのほうが、リアのコーナリングフォースの立ち上がりが速く軽快に感じる。
一方で、アクセルオンで曲がっていくようなシーンでは、リアへのトルク配分効果で4WDのほうが積極的に曲がれそうだが、舗装した公道でそこまで確認することはできなかった。
個人的に気に入ったのガソリンの2WDモデル。何しろ車重が軽いので、加速減も操舵応答も軽快だからだ。ハリアーのキャラクターなら4WDでないと行けないような場所へ行かないと思うし、都市型のキャラクターを気負いなく楽しみたい。
2.0Lガソリン
2.5Lに匹敵するパワーと優れた低燃費が魅力の2.0L直列4気筒エンジン。RAV4から初採用されるDirect Shift-CVTが搭載され、発進時や高速走行でストレスのないスムーズな走りを体感できる。2WD/4WDを設定。
■燃費(WLTCモード) 2WD=15.4km/L 4WD=14.7km/L
■価格(ガソリン車)
ガソリン | グレード | パワートレーン | 価格(2WD/4WD) |
Z“ Leather Package” | 2.0L直4 | 423万円/ 443万円 | |
Z | 393万円/ 413万円 | ||
G“ Leather Package” | 371万円/ 391万円 | ||
G | 341万円/ 361万円 | ||
S | 299万円/ 319万円 |
2.5Lハイブリッド
低燃費と力強い走りを実現した2.5L 直列4気筒エンジンを搭載。先代にはなかった2WDモデルを設定。4WDのE-Fourにはリアモーターが追加され、加速時や雪路などの滑りやすい路面での走行安定性を高めている。
■燃費(WLTCモード) 2WD=22.3km/L E-Four=21.6km/L
■価格(ハイブリッド車)
ハイブリッド | グレード | パワートレーン | 価格(2WD/4WD) |
Z“ Leather Package” | 2.5L直4+モーター | 482万円/504万円 | |
Z | 452万円/474万円 | ||
G“ Leather Package” | 430万円/452万円 | ||
G | 400万円/422万円 | ||
S | 358万円/380万円 |
複数の走行モードから、自分好みに選択できる「ドライブモードセレクト・EVドライブモード」。運転中のシチュエーションや気分に合わせて、ワンタッチでチェンジできる。EVドライブモードは、モーターのみで静かに走行する(ハイブリッド車)。
ドライブモード | パワートレーン | ステアリング | エアコン |
ECO | 緩やかな加速 | 標準状態 | 燃費優先 |
NORMAL | 標準状態 | 標準状態 | 標準状態 |
SPORT | 鋭い加速 | スポーツ制御 | 標準状態 |
コスパなSか? 充実装備のZか?
ベース車選びあなたはどっち?
新型ハリアーのグレード構成はZ/G/Sの3モデルで、Z/Gには快適装備を備えた”Leather Package”がある。ベースグレードのSと、最上級グレードにあたるZ ”Leather Package”では何が違うのか?内外装を比較してみた。
Sグレード
基本的なバンパー形状はグレード問わず変わらない。Sの場合、装飾系のアクセサリーがほとんどないシンプルな設計。カスタムベースとしては最適かも。
インパネ中央のディスプレイオーディオは8型が標準。ナビを使用するにはオプションのT-connectナビキットの追加が必要。ヒーターコントロールがダイヤル式となる。
ファブリック素材となる純正シート。インパネ各部にレザーが使われているだけに少々寂しい。シートカバーが必須!?内装色はブラックのみ。
ベースグレードでもヘッドライトは純正でLED。面発光のLEDクリアランスランプがL字ラインでシンプルに入る。
17インチが標準となるタイヤ&ホイール。タイヤの厚みがかなり目立つ足元は、物足りない印象。
Z ”Leather Package”
前後バンパーのボトム部分にメッキガーニッシュが装備される。フロント両脇にはLEDフォグランプも。ドアハンドルもメッキ仕様となっている。
12.3型ワイドディスプレイとJBLプレミアムサウンドシステムが標準装備。ヒーターコントロールパネルは静電式に。Gはメーカーオプションで選択することができる。
Z"Leather Package”は本革シートを採用(Zは合成皮革+ファブリック)。滑らかで心地良い触り心地は絶品。内装色はブラックとブラウンがあり。
プロジェクター式LEDランプにくわえ、2本のL字ラインがデイランプ/ポジションランプ/ウインカーランプの役割を担う。
高輝度シルバーでフィニッシュされた19インチのアルミホイール。デザイン性も秀逸。Gは18インチ。
スタイルワゴン2020年9月号より
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