デザイン、カラー、そして製法
2020年のホイールトレンドを考える
ベースデザイン+αが2020のキーワード
毎年、年明けには各ホイールメーカーが、イヤーモデルを発表する。今年も例に漏れず、東京オートサロンで、様々なニューモデルが展示されていたのはいわずもがなだ。デザインや色など、ここで発表された数々のホイールを見ることで、その年のカスタムのトレンドを占うことができる。
そこでスタワゴ的視点から、今年のトレンドを考えてみた。
まずはデザイン。ここ数年、メッシュホイールが多く見られたが、やや落ち着いた印象。とはいえ、スポークとともにスタンダードであることは変わりはない。そのベースデザインにプラスαを加えた意匠が2020年のキーワードだ。
代表的なものがツイストデザインとデュアルフェイス。どちらもいまに始まったデザインというわけではないが、オーソドックスなモデルから新鮮な印象を与えるものまで、選択肢は多い。
カラーから見てみると、ブラポリに改めて注目。一時期ガンメタなどベース色を変えたり、いろいろな表面処理があったが、今年は黒ベースのモデルが多数。
その代わり、ポリッシュ部にマシニングやメタルコートなど、様々な処理が見られるのが特徴的だ。
一方で、アップスタイルの勢いは、今年も健在。中でも新型RAV4やプラド、新型ジムニーに対応するモデルが数多く発表され、カスタムだけにとどまらずクルマやファッション、ライフスタイルまで、まさに現代のトレンドの中心であることは間違いない。
軽い鋳造ホイールと表情豊かな鍛造
ひと昔前、鋳造ホイールが重いのは仕方ないことだったかもしれない。しかし、ここ数年のニューモデルでは、多くのホイールにフローフォーミング技術が惜しみなく使われている。つまり、鋳造ホイールも十分に軽くなったということ。
一方、鍛造ホイールも削り出し鍛造が増えていることもあり、デザインバリエーションも多彩になった。
鋳造、鍛造ともに苦手とされていたことが実現できるようになっている。これはユーザーにとって歓迎すべきブレイクスルー。デザイン優先、性能優先のどちらから選んでも、もう一方も手に入る。素晴らしい時代に感謝だ。
2020年トレンドデザインのキーワード
ツイストデザイン
スポークの始点、あるいは終点を中心からずらすことで、渦のような形状を与えられたツイストスポーク。動きのあるデザインが足元を躍動的にする旬の意匠だ。
コンケイブ
ホイールの立体感や奥行きを表現する手法としてトレンドになっているコンケイブ。ワイドリムだからこそ手に入る深さは、憧れの象徴だ。
デュアルフェイス
主となるデザインに加えて、もうひとつの顔が隠されているデュアルディスクも、ここ数年で増えてきているデザイン。
ホイールカラーから見えるトレンド
ブラックポリッシュ
ブラックで塗装したホイールの一部を研磨し、アルミの地を見せる表面処理。いまや純正でも用いられるほど、人気カラーの絶対王者だ。
ブラッシュド
ホイールの表面を、粗くブラシをかけた状態で仕上げたもの。プレミアムホイールに多く採用されている話題の表面処理だ。
カラークリア
通常は無色で仕上げるが、色付きのクリアを使った仕上げ。アルミの素地と色の組み合わせが違った印象を引き出す。
シボ塗装
オフ系メイクの隆盛にともなって、ザラザラしたラギッドな塗装も注目を集める。写真はMKWのグリティーフィニッシュ。
製法による差は徐々になくなりつつある
削り出し鍛造
アルミの鍛造ブロックをCADデータを基に削り出して製造。デザインの自由度が高い上、鍛造の利点の軽さと高い剛性も備える。
デザイン金型鍛造
昨年レイズが発表したVMFは、これまでのデザイン金型鍛造では見られなかった複雑な意匠を実現。新たな鍛造像を表現した。
フローフォーミング
鋳造の弱点だった重量と剛性を兼ね備えた製法。これにより、軽くて剛性のあるモデルが増えている。
スタイルワゴン2020年3月号より
[スタイルワゴン・ドレスアップナビ]