唐突ではあるが、著者は小さなクルマが好きだ。
小さなボディーに動力系はもちろんのこと、居住空間を含めたすべてを凝縮した空間に詰め込むのは、普通の車両を作るより難儀なのは言うまでもない。
それでも、なぜこれほど小さなクルマの人気は衰えることなく、いまだ需要があるのであろうか?
今回は小さなクルマについて書いていこうと思う。
コンパクトに作る難しさ
子供の頃の筆者は、小さなクルマに興味が持てなかった。
いや、その「小さいクルマ」の意味すらわかっていなかったのかもしれない。
例えば、ランボルギーニ カウンタックは小さなクルマとは言い難い。しかしV型12気筒エンジンをあのコンパクトなボディーに収めるために、ミッションを前方に置く設計などで、当時のメーカーの試行錯誤の結果生まれたモデルだ。ゆえに、驚愕的といっていいほどのアイデアで作られたデザインともいえる。
当時、そのようなことは知る由もなく、またコンパクトなイメージもまったくなかったが好きでたまらなかった。
12気筒エンジンを搭載したクルマは、今では衝突安全性も含めると、当時より肥大化したデザインになってしまった事実は否めない。
しかし、年齢を重ねていくうちに、コンパクトななかに収める難しさと美しさを認識するようになった。気付けば英国のライトウェイトという分野にたどり着いていたのかもしれない。
ただ英国のライトウェイトオンリーな嗜好かと言えばまったく語弊がある。ただ単に小さなクルマが好きなのだ。
小さなクルマの楽しさとは?
小さなクルマの最大の魅力は、やはりその軽さとシンプルな構造にあると著者は考える。
モアパワーを求めれば、当然のように受け皿もそれに見合った装備が必要となる。
車体剛性にしろ、ブレーキにしろ、足回りにいたるまですべてにおいてアップデートが必要不可欠だ。
小排気量のクルマは、絶対的なパワーはなくても、シンプルな構造の受け皿で充分にキビキビとした走りを実現できることが魅力的である。
そして、まずいちばんの魅力は「軽さ」に尽きる。
パワーウェイトレシオなど数値的な問題だけでは語れない楽しさがあるのだ。
ボディーのサイズも相まって、背中でリアタイヤの挙動をしっかり把握できる喜びは、速さの追求だけでは語れない走りの楽しさだ。
また、それが非力なエンジンであっても、街中でも上まで「ぶん回せる楽しみ」はストレスとは無縁だ。