試乗可能な「広報車」というモノが基本的には存在しない中古車の試乗レポート第4弾、今回は93年式ポルシェ911カレラ2ティプトロニック、いわゆる「後期964(キューロクヨン)のティプトロ」である。
内外装のコンディションはかなり良好
まずは試乗車両のスペック紹介から。ブツは横浜市のガレージカレントが販売する93年式ポルシェ911カレラ2ティプトロニックで、価格は567万円。試乗時点での走行距離は10.1万kmであり、車検は2019年12月まで。ボディカラーはミッドナイトブルーだ。
整備記録簿によれば、2年に一度のペースで各地の一般整備工場またはポルシェセンター(ポルシェ正規販売店)にて点検および整備を受けてきた個体だ。
ミッドナイトブルーをまとったボディのコンディションは良好で、くすみなどはほとんど感じられない。またこれはガレージカレントのウェブサイトにも記載されていることだが、911ではありがちな「飛び石による小キズ」が少ないというのも、この個体の美点と言えるだろう。
ブラックレザーシートを中心とするインテリア全般は非常にキレイ。走行10.1万kmともなると、普通はレザーシートの端々に目立ったスレが生じているもの。しかし個体は扱いが良かったのか、それとも過去のオーナーが専門店に丁寧な補修を行わせたからかは不明だが、結論として「いい感じ」である。古い世代の中古車ではありがちな「タバコなどが染み付いた感じのニオイ」もほとんど感じられない。
「普通に乗れる」カレラ2
エンジンは一発で軽やかに始動し、アイドリングも安定している。ほんの少々の暖機の後、横浜界隈の道へと走り出してみる。
走行距離10万kmを超えているものの、トルコン式ATである「ティプトロニック」には何の問題も生じていないという印象。筆者も数年前、まさに走行10万km台のカレラ2ティプトロニックに乗っていたのだが、その個体もティプトロはまったく問題なかった。またポルシェセンターのベテランメカニック氏に聞いても、「ティプトロニックの故障」というのはほとんど聞いたことがないという。
ティプトロニックとはなぜか知らねどやたらと頑丈な、不思議なオートマチック・トランスミッションである。