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高速バスの安全対策
高速バスでは過去に「高速ツアーバス」で事故が相次いだことから、「高速ツアーバス」業態の廃止、運行管理や違反した場合の処分が厳格化されました。
2014年11月以降は乗車定員10人以上、車両総重量12トンを超える新型バスに対して衝突被害軽減ブレーキの装着を義務化。2019年12月には全車にドライブレコーダーを搭載し、それを用いた指導監督も義務付けられました。
バス事業者では乗務員の健康管理の強化や車両安全装置の導入など、安全対策に力を入れています。
そこで、青垣観光バス(たびのすけ)、ウィラー、JRバス関東の車両に搭載されている安全装置を調べてみました。
車両に搭載している安全装置
衝突被害軽減ブレーキ
万一の衝突時に、ブレーキが自動的に作動し衝撃を和らげるシステムです。ちなみに衝突被害軽減ブレーキは、2021年11月からフルモデルチェンジする国産の新型乗用車に対しても搭載が義務付けられます。
モービルアイ
一部車両で搭載されているモービルアイは、車両のフロントガラス付近に取り付けたカメラで前方の車両、車線、歩行者などを検知する装置です。衝突の危険が迫ると警報音と表示で乗務員に知らせます。
運転注意力低下警報装置(ドライバーモニター・運転注意力モニター)
乗務員の表情、視線、姿勢などから注意力が低下している場合には、警報音とディスプレイへの表示で注意喚起します。
車両安定制御システム(VSC)
カーブでの車線はみ出し(ドリフトアウト)や横転、滑りやすい路面でのスリップやスピンの抑制を助けるため、警報音、エンジン出力制御、ブレーキングにより、乗務員の危険回避操作をサポートします。精神的、肉体的な負担の軽減に貢献します。
※日野・セレガ、いすゞ・ガーラなどに搭載
車両ふらつき警報
時速約60km/h以上で走行時、センサーがハンドル操作のふらつき具合により警報を出し、乗務員に注意を促すことで事故防止に貢献します。警報が続くと、衝突被害軽減ブレーキシステムの作動が早くなります。
デジタル式運行記録計
瞬間速度、運行距離、運行時間を記録する機器です。ネットワーク通信方式だと、車両状況をリアルタイムで把握できます。乗務員に対して警報音や音声による注意喚起を行うことで事故を防ぎ、安全運転のアドバイスをする際にも活用されます。
眠気検知機器 FEELythm(フィーリズム)
ウィラーで導入されている眠気検知機器 FEELythmは、走行中の乗務員の脈波を計測することで、自分でも気づかない疲れや眠気の予兆を検知し、振動で注意を促します。また、運行管理者にも情報がリアルタイムで届くため、乗務員に休憩を指示するなど遠隔からの適切な指示が可能。
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ドライバー異常時対応システム(EDSS)
一部の車両には、ドライバー異常時対応システムが搭載されています。乗務員の健康状態が急変し運転の継続が困難になった場合に、緊急措置として乗務員か乗客が車内にある非常ブレーキスイッチを押すと、自動的に制動し徐々に速度を落として緊急停車させるシステムです。
非常事態が発生した際、バス車内では非常ブザーが鳴り赤色のランプと緊急停止する旨を乗客に伝えられます。周囲の車両や歩行者には警笛やランプの点滅で知らせます。
システム作業時は、以下のように赤いランプが点灯。緊急停車時は誤作動チェックをした上で、乗客に負担のない程度の急ブレーキが秒単位で作動します。
車両火災自動消火装置
エンジンルームの異常をセンサーが感知し自動的に消火する装置です。JRバス関東の高速バスとして運行する車両すべてに搭載されています。
緊急事態発生表示装置
JRバス関東ではバスジャックなど緊急事態発生時、バスの行先表示装置に「緊急事態発生」を表示させ、周囲の車両などに異常を知らせます。
まとめ
以上、青垣観光バス(たびのすけ)、ウィラー、JRバス関東の高速バス車両に搭載されている安全装置の紹介でした。想像以上にさまざまなシステムがあり、実際に利用されているんですね。
車両の安全対策はもちろん、乗務員の健康管理もしっかり行われています。ウィラーでは車庫のそばに、健康に配慮した食事が朝・昼・夜食べられるカフェテリアや宿泊棟を用意するなど、乗務員の健康管理に力を入れています。
高速バスの安全面への配慮はここ何年かで、ぐんと強化されているようで高速バスユーザーにとっては心強いですね。
今回調べたバス事業者の高速バス路線
(バスとりっぷ編集部)