効率の良いうちわの仰ぎ方と検索すると「大きくゆっくり仰ぐ」と出るのですが、本当なのでしょうか。この疑問を解決するために、大きくゆっくり仰ぐのと小さく早く仰ぐのではどちらが涼しいのか、実験を行いました。
実験方法
(1)大きくゆっくり仰ぐ人、(2)小さく速く仰ぐ人、(3)椅子に座って仰がれる人を用意しました。(1)、(2)には1分間(3)を仰いでもらいました。(1)と(2)で仰ぎ方は異なりますが、疲れ度合いは大体同じとしました。
1分間仰いだ後、(3)にはどのくらい涼しかったか、100点満点で採点してもらいました。
実験結果は「ゆっくり大きく仰いだ方が良い」
結果は大きくゆっくり仰ぐのが95点、小さく速く仰ぐのが70点でした。顔の表面温度の下がり方に大きく差はありませんでしたが「ゆっくり大きく仰いだ方が良い」という結果となりました。
ゆっくり大きく仰ぐ方が「風量が大きい」「顔だけではなく上半身全体が冷える」と感じたそうです。一方で小さく速く仰ぐ方は顔の付近しか仰がれていないので、風量があったとしても相対的に涼しさは感じなかったようです。
うちわは大きくゆっくり仰いだ方が良い理由とは?
どうして大きくゆっくり仰いだ方が心地よく感じるのでしょうか?
そもそもうちわで仰いで涼しくなれる理由なんなのでしょうか、ポイントは汗です。汗をかくと、涼しく感じますよね。汗は体の表面で蒸発します。汗が蒸発するには、身体の表面から熱(気化熱)を奪う必要があるので、体温を下げているのです。
この気化熱を奪うのを「うちわ」は助けてくれます。通常暑いとき、身体は水蒸気に覆われ、汗が水蒸気に変化しづらくなります。うちわによって体に風をおくると、体の周りにたくさんあった水蒸気が飛ばされ、汗の蒸発がしやすくなり、身体の熱も逃げやすくなります。そのため大きくゆっくり仰ぐと、可動域も広がり、水蒸気を効率よく飛ばすことができるのです。
ちなみに、団扇は左右ではなく、上下に仰ぐともっと涼しくなりやすいです。冷たい空気は重くて下の方にあるので、下から扇ぐことで冷たい風を送ることができます。
今回ご紹介した仰ぎ方も実践しながら、暑さを乗り越えて頂けますと幸いです。
動画解説:植田純生