登山ウェアは機能性に優れていることもあって高額なものが多く、そろそろ寿命かなと思っていても、なかなか買い替えできないという人も多いかと思います。でも機能が低下した登山ウェアは低体温症などのトラブルを招く可能性もあるため、適切なタイミングで買い替える必要があります。
そこでここでは、登山ウェアをどのタイミングで買い替えればいいのかについて、わかりやすく解説していきます。寿命を延ばすための基本となるリペア術も合わせてご紹介していきますので、そろそろ買い替えのタイミングかなと感じている人は、ぜひ参考にしてください。
レインウェアは防水性がなくなったら買い替えよう
まずはレインウェアを買い替えるタイミングを見ていきましょう。結論から言えば、レインウェアは防水性や撥水性がなくなってきたと感じたら、そこが買い替えのタイミングです。防水スプレーなどを使えば多少は寿命を延ばせますが、買い替えまでの延命措置でしかありません。
雨の日に登山して、雨水が内側に染み込んで来るのを感じたら、できるだけ早い段階で買い替えを検討してください。
また止水テープが剥がれてきたり、レインウェアの生地が薄くなって破けたりしている場合も買い替える必要があります。ある程度はリペアで回復させることも可能ですが、そこまで使っていると、すぐに他の箇所が損傷するので、思い切って新しいレインウェアに変えてしまいましょう。
ちなみにゴアテックスのレインウェアは洗濯、乾燥をしたあとにアイロンで熱処理をすることで撥水性が戻ることがあります。まだそれほど着ていないのに撥水性が落ちてきたと感じたときには、まずはアイロンを当ててみましょう。
ベースレイヤーの買い替えは生地が薄くなってきたら
登山ウェアの中でも比較的消耗しやすいのがベースレイヤーです。肌に直接触れることもあり、生地が徐々に薄くなっていきますし、汗を吸って臭いが気になったり、吸水性が失われたりするので、こちらは1~2シーズンで買い替えだと考えてください。
もちろん使用頻度によっても異なるため、必ず1~2シーズンで買い替える必要はありません。とはいえ明らかにベースレイヤーの生地が薄くなって、透けて見えるようになったらそれが買い替えのタイミングになります。
・以前よりも汗を吸わなくなった
・登山中に肌がベタつく
このように感じることがあったら、そう遠くないうちにベースレイヤーは寿命を迎えます。機能性が低下したベースレイヤーは汗を吸わなくなり、汗冷えの原因にもなります。「まだ着られる」と思っても1年もしくは2年サイクルで買い替えるようにしてください。
登山ウェアの寿命を延ばすリペア術
まだそれほど着ていないのに、レインウェアが破けてしまった場合には、リペアシートを使って簡単に補修できます。
1.破れた箇所周辺の汚れを落とす
2.破れた箇所を糸で縫う
3.リペアシートを適切なサイズにカット
4.アイロンを使って当て布をしながら指定された温度で圧着
基本的にはこの方法でOKです。ただし、アイロンが家にない場合には、100円ショップなどで売られている「ナイロン補修シート」でも構いません。こちらはテープを貼り付けるタイプですので、耐久性はそれほど高くありませんが、応急処置と考えれば問題なく利用できます。
また、撥水性や防水性が落ちている場合には、ウェアを洗濯してから防水スプレーを吹き付けましょう。効果はそれほど長く持続しませんが、登山ごとにスプレーしておけば、強い雨が降らない限り、雨が染みてくるということはありません。
ちょっとした損傷なら、このような方法でリペア可能ですが、しっかりと破れていたり、縫い目が取れてしまったりした場合には、自分で補修するのは困難です。その場合にはメーカーのリペアサービスや専門の修理業者に修理してもらいましょう。
すぐに買い替えできないときは低リスクの登山を楽しもう
登山ウェアは適切な方法でメンテナンスを行い、リペアをきちんと行っていれば、ウェアの種類によっては10年近く着続けることも可能です。ただ、それでも消耗品であることに変わりはなく、着れば着るほどゆっくりと寿命を迎えてしまいます。
そのときに、すぐに買い替えるのが理想ですが、破れのように目に見える破損ではない限り、「もう少し使える」と自分に言い聞かせて、買い替えを先送りしてしまいますよね。そして登山中に大雨にあって「買い替えておけばよかった」と後悔することになります。
どうしても買い替える余裕がない場合には仕方ないことですが、それでも登山ウェアは自分の身を守るためのアイテムですので、先送りするということは自分自身を危険にさらしているようなものだということをきちんと意識してください。
機能性が低下した登山ウェアしかないのであれば、買い替えるまで安全性が高い低山を選んで登ったり、登山予定日のコンディションが悪い場合には登山を中止したりするなど、しっかりとリスク管理を意識した登山計画を立てましょう。