サッカー女子日本代表MF宮沢ひなた(25=マンチェスター・ユナイテッド)が22日、母校の神奈川・星槎国際高校で、兄の佳汰さん(28)とともに「宮沢兄妹サッカーフェスタ」を行った。
今年6月に続く2度目のサッカー教室。今回はイベント会社を挟まずに、仲間と「手作り感」をテーマに3部制で実施した。シーズン中のひなたは、帰国後すぐのハードスケジュールも「これを楽しみにして帰ってきたところもあった(笑い)。みんなが笑って帰ってもらったのが収穫だった」と充実感たっぷりに振り返った。
神奈川県社会人2部の久野FCでプレーを続ける佳汰さんも「楽しかったです。サッカーを頑張ろうと思えました」と喜んだ。
昨年のFIFA女子ワールドカップ(W杯)オーストラリア、ニュージーランド大会の得点王の呼びかけに、県外からも子どもたちが集結。人がどれだけ集まるか不透明な部分もあったが、100人以上の小中学生がサッカーを楽しんだ。
現役中に普及活動をすることに意義を見いだすひなたは「みんなの笑顔を見ると自分もまたさらに頑張ろう、さらに憧れられる存在で居続けないといけないなと思いました」。イベントを一から作りあげた佳汰さんは「遠いところだと栃木や東海地方からも来てくださった。スポンサーさんも北海道からも依頼があって、新しい発見がありました」と手応えを覚えた。
激動の一年だった。昨年12月に全治4カ月の大けがを負い、松葉づえで2024年を迎えた。懸命なリハビリで今夏のパリオリンピック(五輪)に間に合ったが、不発。プレー感覚が思うように行かないこともあった。
新チーム発足となった10月の韓国戦に臨むメンバーにひなたは選出されなかった。「シンプルに選手として悔しかったです」。コンディショニング調整や新戦力発掘など、さまざまな要因が重なった選外であることは理解していたが、当たり前だった場所に呼ばれない喪失感は拭えなかった。佳汰さんから「しょうがないよ、次、次!」と言葉をかけられ、切り替えて前向きに取り組むことができた。
今月12日に、不在だったなでしこの新監督が決まった。スイスやデンマークの女子代表監督を歴任したデンマーク人のニールセン氏(53)。なでしこ史上初の外国人監督に、ひなたは「いろいろな代表を経験しているから、日本人の選手をどう使うか楽しみですよね」と心待ちにする。
来年2月にはシービリーブス杯が控える。新生なでしこの活動に向けて「新しい監督が来たらゼロスタートだし、へこんでいられない。まずは自チームで結果を残しながらコンスタントに戦っていければ」。子どもたちとの触れ合いで気持ち新たにした俊足アタッカーが、27年女子W杯ブラジル大会で世界一を奪うために、2025年を充実の1年にする。【佐藤成】