8月末には北海道マラソンが開催され、この秋からは全国各地でマラソン大会が予定されています。これまで何度も中止を経験したこともあり、疑心暗鬼になっている人もいるようですが、すでに開催されている大会もあり、ようやくランナーの元にマラソン大会が戻ってきそうです。
すでに大会にエントリーしたという人もいるかと思いますが、ほとんどの人にとって3年ぶりのフルマラソンになるため、気をつけなくてはいけないポイントがいくつかあります。そこで、ここでは久しぶりにフルマラソンを走るときの注意点について解説していきます。
久しぶりだと42.195kmがとても長く感じる
まずは久しぶりにフルマラソンを走ると、どのようなレースになりやすいのかをお伝えします。筆者は昨年(2021年)のぐんまマラソンに出場したのですが、このときは約2年ぶりのフルマラソンになりました。スタートして感じたのは「5kmが遠い」ということです。
普段の練習で5kmくらい何度も走っているはずなのに、いつまでたっても5km地点がやってきません。ペースが遅いわけではないのになかなか距離が積み重なっていかず、21km地点に到着したときには、残り半分もあることに絶望的な気持ちになりました。
もちろん、人によって感じ方に違いがありますが、おそらく多くの人が「42.195kmってこんなに長かった?」と感じるはずです。体感での距離がこれまでよりも長く感じることが焦りにつながり、自分の思いどおりのレース展開にできなくなってしまいます。
まずは、この「長く感じる」を頭の片隅に置いておいてください。そう感じると最初から知っていれば、焦らずに対処できます。
前半は抑えて後半勝負と考えよう
フルマラソンを3年近く走っていないと、まず自分がどう走っていたのかを完全に忘れてしまいます。このため、あらかじめペース設定をしていても、余裕が欲しくなって設定ペースよりも速く走ってしまい、後半に失速というのがよくある失敗例です。
そうならないためには、前半のペースを抑えたネガティブスプリットによるレース展開を意識しましょう。理想はイーブンペースで最初から最後まで走り切ることですが、久しぶりのレースでイーブンペースを維持するのは困難です。
まずはゆっくりと入り、徐々にペースを上げながら体を慣らしていきましょう。ネガティブスプリットならスタート直後の渋滞も焦ることなく、リラックスした状態で走れます。後半にペースアップすることになるので、多くのランナーを追い抜けるという楽しさもあります。
5kmまではウォーミングアップくらいの気持ちで走り出し、そこから段階的にペースを上げていきましょう。久しぶりのフルマラソンは後半が勝負です。前半はできるだけロスを防いで、後半は温存した体力を使って、前にいるランナーを1人ずつ追い抜いていきましょう。
前日は「いつもどおり」を心がけてしっかりと寝る
久しぶりのフルマラソンだと当日のレース展開も大事ですが、それよりも大事なのが前日をどう過ごすのかということです。きっと、多くのランナーが不安になって走りにいきたくなるかと思いますが、もちろんそれはNGです。
前日はとにかく休むことです。大会の前日受付があるなら、午前中の早い時間に済ませておき、午後はゆっくりと過ごしてください。どうしても走っておきたいなら、それも午前中がおすすめです。ただし長くても30分以内に切り上げましょう。
食事はいつもどおりでOK。カーボローディングなどをしている人もいますが、3時間以上かけて走るなら、エイドでの補給が必須。慣れない食事をするよりも、「いつもどおり」を心がけてください。
ただひとつだけ、いつもよりも変えてもらいたいのが、睡眠時間をしっかりと確保するということです。久しぶりのマラソン大会で、すぐに寝付けないかもしれませんので、横になっているだけでも構いません。しっかりと寝て、体力を回復させておきましょう。
タイムを狙うのではなく走る楽しさを取り戻そう
マラソン大会が開催されない時期が長かったこともあり、フルマラソンの距離をしっかりと走り切れるか不安という人もいるかと思いますが、スタートラインに立ったら、あとは覚悟を決めて走るしかありません。
そこでの不安を少しでも減らすために、しっかりと準備しておいてもらいたいのですが、それでも3年ぶりのマラソン大会となると、感覚が鈍っているため、思うようなレース展開にならないものです。大事なのはそこで焦らないことです。
距離が長く感じるなら、コース上から見える景色やたくさんのランナーと一緒に走る高揚感を楽しんでください。記録を狙うのもいいのですが、やっと開催されたマラソン大会を短時間で終わらせるのはもったいない。
タイムを狙うのは次回のレースにして、リスタートになる1回目の大会は、走る楽しさを取り戻すレースと位置づけて、全力でマラソン大会を楽しみましょう。