4月になり、北海道の北東部でもすっかり雪がとけて、車も走りやすくなりました。道民は冬の間は凍ってツルツルの道路を注意深く運転していましたが、春になって雪がなくなった道路はさぞかし快適…と思いきや、特に車通りの多い道路はアスファルトがはげて、穴ぼこだらけです。雪国以外ではあまり見られない、穴ぼこだらけの道路。なぜ、北海道では春になると、道路に穴があいてしまうのでしょうか。
雪がとけると道路が穴やヒビだらけ。道外から来た人はビックリ。
4月になり、転勤や進学で北海道に引っ越しした人も多いと思います。4月の北海道は冬が終わったばかり。朝晩は気温が低く、まだまだストーブが手放せません。雪がとけたばかりで道路がほこりっぽく、青葉が鮮やかな春には今一歩遠いといったところです。
北海道に引っ越しした人が、まず驚くことの一つに、春の道路がツギハギだらけで、あちこちに穴やヒビわれが多い、ということです。車や自転車を運転しているとハンドルをとられ、スムーズに運転しにくいこともあります。ちょうどタイヤが走行するラインに沿って、深いヒビわれが長く続いていることもあるので、そこを避けるために、あえて道路の左側に寄って走る場合もあります。
雪がとけてせっかく走りやすくなったはずなのに、肝心の道路が穴だらけでガタガタ。このような“悪路”は北国以外ではあまり見られないといいます。では、どうして春になると北海道では道路に穴やヒビわれが多くなるのでしょう。
小さなヒビに水がしみ込み、凍結と融解を繰り返し、穴が大きくなる
道路のアスファルトの小さなヒビわれや空洞に水がしみ込むと、北国では冬の場合、その水分が凍結してしまいます。しかし、冬でも気温が少し高くなると凍結した氷がとけるので、ヒビわれや空洞の強度が弱まり、アスファルトがもろくなります。もろくなった部分を車が走行し、タイヤの衝撃が加わります。凍結→融解→衝撃。これが繰り返されて、穴やヒビわれが拡大していきます。
道路が1日中凍結していることが多い1~2月は、ヒビわれの中にしみ込んでいる水分は凍ったままなので、ヒビわれに加わるタイヤの衝撃は少なくてすみますが、3月になると雪どけが始まり、アスファルトがどんどんもろくなるため、道路のあちこちにある穴が一気に大きくなるのです。
このように、冬期の気温が低いことが原因で、北海道では春の道路でヒビわれや穴が目立ってしまうのです。
アスファルトがポロポロと崩れ、フチが角ばった穴になる場合も
アスファルトが壊れるのは、道路の表面だけでなく、底面でも起こります。
道路のアスファルトは土砂の上に敷かれているので、底面は土砂と接触しています。表面だけではなく底面にもともとあった小さなヒビわれにも水がしみ込み、冬になると、凍結→融解→衝撃が繰り返されます。すると、今度は、表面のアスファルトのようになだらかに陥没するというのではなく、アスファルト自体がボロボロに小さく砕けてしまいます。
アスファルトが底面から壊れてしまうと、下に敷かれている土砂が見えるほどの深い穴になってしまいます。しかも、穴のフチが角ばっているので、運転しているとタイヤがガタガタと当たり、かなりの振動になります。大きい穴だと、幅が50cm以上になることもあり、運転する側からするとタイヤがパンクしそうで、恐怖さえ覚えることもあります。
参考
北海道ファンマガジン:北国の道路は春先になるとなぜガタガタになるのか?そのメカニズムとは
丸山・安倍・木村, 2014:融雪期に発生する舗装の損傷実態と損傷のメカニズム
春になり、北海道では道路の穴をふさぐ補修工事が急ピッチで進んでいます。今年は雪どけが早いところもあり、すでに補修が終わっている地方もあるようです。穴をふさぐ補修をすると、そのつなぎ目に水がしみ込み、冬になると凍結→融解を繰り返して、次の年の春には再び、穴が顔を出します。北海道では毎年これが繰り返され、春になると決まって道路が穴ぼこだらけになることから、このガタガタの道路は北海道の雪解け時期の風物詩といえるかもしれません。