まもなく2018年も終わりますね。来年2019年5月1日からは新しい元号に変わるため、平成としては最後のクリスマスを迎えることになります。
クリスマスがまるで一大イベントのようにもてはやされた時代は過ぎ、最近は普通の行事のひとつとして、当たり前に認識されるようになりました。特に何もしない、という人も多いそうです。
とはいえ、ちょっとおいしいものを食べたり、お酒を飲んだりしてみたい。そこで、今日はクリスマス気分を盛り上げてくれる泡もの、発泡性ワインについて特集します。
シャンパンに代表されるスパークリングワインですが、スプマンテ、カヴァ、ヴァン ムスーなど、いろいろな表示をみかけます。どこがどう違うのでしょうか。簡単にご説明しましょう。
シャンパンはスパークリングワインの代表
今では、広く認識されるようになった シャンパン(Champagne) 。フランスのシャンパーニュ地方で伝統的製法においてつくられる、5~5.5気圧の発泡性のワインを指します。映画の「007シリーズ」では、ジェームズ・ボンドが愛飲していましたし、「プリティ・ウーマン」ではシャンパンといちごのマリアージュが有名になりましたね。F1レースでの勝利者にかける「シャンパン・ファイト」でも知られ、カンヌ映画祭の公式シャンパンも。そんな高級かつ高価というイメージが先行して、飲んだことがないという人も多いのだとか。
確かに、シャンパンは5000円以上するものが多く、あの美しく細かい泡と気品のある香り、甘みと爽やかさを秘めたスッキリとした後味などは、味わってみなければわかりません。「ドン・ペリニヨン」「クリュッグ」といった超一流品はさすがに数万円と高価ですが、他にもいろいろな生産者がいるので、機会があったらぜひ試してみてください。
ちなみに、フランスではシャンパン以外のスパークリングワインをヴァン ムスー(Vin Mousseux) と呼びます。
その中に、クレマン(Crémant)という名があります。クレマンはシャンパンと同じ伝統的な製法で作られるものが多いのですが、シャンパンよりも気圧が弱く、3~3.5気圧程度。「クレマン・ダルザス(Crémant d’Alsace)」「クレマン・ド・ブルゴーニュ(Crémant de Bourgogne)」などが有名で、3000円前後で販売されています。
また、ペティヤン(Pétillant)も最近は人気があります。2.5気圧以下とクレマンよりも微発泡なワインなので、強い泡が苦手な人にオススメです。
イタリアでの発泡性ワインはスプマンテ
ところ変われば名も変わる、ということで、イタリアでは発泡性ワインのことを スプマンテ(Spumante)と言います。前述のフランスの発泡性ワインを表す、ヴァン ムスー(Vin Mousseux)と同じですね。
その中に、プロセッコ(Prosecco)があります。ヴェネツィアのあるヴェネト州でつくられているスプマンテで、DOCとDOCGの格付けを持っています。青りんごや梨を思わせる香りとドライな口あたりがシーフードにぴったり。イタリアでは食前酒としてプロセッコを飲んでから、食事に合せたワインを飲みます。お手頃価格で販売されていることもあり、デイリーに楽しめるワインです。
また、近年イタリアンレストランで目にするフランチャコルタ(Franciacorta)とは、ミラノを首都とするロンバルディア州のフランチャコルタ地方でつくられるDOCGワインのこと。シャンパンと同じ方式(瓶内二次発酵)でつくられていますが、規定はシャンパンよりもさらに厳しいのだそう。品質はイタリアにおけるシャンパンのようなものといえばわかりやすいでしょうか。高い評価を受けているのに、価格は3000円前後ならなんともお得な気分になりますね。
さらに、ボローニャを首都に置くエミリア=ロマーニャ州で、伝統的に生産されているワインがランブルスコ(Lambrusco)です。白もありますが、有名なのは赤く濃い色の天然微発泡ワイン。DOC格付けもあり、産地はマントヴァ、モデナなどが有名です。この地方は、生ハム、パルミジャーノ・レッジャーノ、ボロネーゼ、バルサミコ酢など、美食にあふれていますが、ランブルスコはそんな食事に最適。細やかな泡が口の中をさっぱりさせ、さらに食欲をかきたててくれます。千円台とコスパがよいため、アメリカでも大人気になりました。甘口(Dolce)から辛口(Secco)まであるので、お好みで選べます。
ちなみに、イタリアでの弱発泡性ワインのことはフリザンテ(Frizzante)と言います。
スペインではカヴァ、ドイツではゼクトが美味しい
スペインで発泡性ワインを表す言葉はエスプモーソ(Espumoso)です。よく聞くカヴァ(Cava)は、シャンパンと同じ瓶内二次発酵でつくられ、古い歴史があります。ほとんどはカタルーニャ州のペネデス地域で製造されています。シャンパーニュ製法で手間をかけてつくられているのに、価格は千円台というコスパのよさですっかり人気に。シャンパンとは使っているブドウが違うので、力強い味わいを楽しめるのも魅力のひとつです。
ドイツではシャウムヴァイン(Schaumwein)が、発泡性ワインの総称で、炭酸ガスを入れたものも含まれます。シャンパーニュ方式と同じ瓶内二次発酵でつくられた高級ワインをゼクト(Sekt)といい、ドイツでは細かく規定があるのだそう。全世界で生産されているスパークリングワインの約4分の1はドイツで消費されるというほど、ドイツ国民に絶大な支持を得ているゼクトは、春の訪れを告げるシュパーゲル(ホワイトアスパラガス)と相性抜群です。
── 世界にはさまざまなスパークリングワインがありますね。
日本にもコスパがよくおいしいスパークリングワインが輸入されるようになり、泡ブームが到来しているようです。パーティやお祝いの席などでスパークリングワインやシャンパンを飲む機会が多いですが、最近は特に暑い季節のお酒として、喉を潤すスパークリング系に人気が集まっているのだとか。
キリっと冷やしたシュワシュワの泡がのど元を過ぎる瞬間、芳しい香りが漂い、フルーティながらスッキリした飲み心地。ああ、なんて美味しいんでしょう!
クリスマスはもちろん、カヴァ×洋風お鍋、ランブルスコ×すき焼き、など、冬の料理にも合わせてみてはいかがでしょうか。