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芸術の秋―それを超えて美に参与する―福原信三の美学を堪能する!


秋冷という言葉がしっくりくる今日この頃、深まりゆく秋をいかがお過ごしでしょうか。今年は明治元年から150年の節目ということで、明治を振り返るイベントが多く開催されています。東京・銀座の資生堂ギャラリーでは、来年の創業100周年を前に創業者の福原信三にまつわる企画展を開催中です。写真家で実業家という二つの顔を持つ、明治の男の美意識とその功績とは?企画展は遊び心もふんだん!美術館とは違うギャラリーならではのアートの楽しみとは?


写真家として、さまざまな出会い

1883(明治16)年に東京・銀座に生を受けた福原信三は、13歳で写真機に出会い、翌年「東洋写真会」に入会しました。その後国内で薬学を学びコロンビア大学へ留学しました。留学先で画家・川島理一郎と出会ったことはその後の人生においても大きな契機となります。卒業後もアメリカからヨーロッパと各地の美術館を訪ね1913年に帰国した福原は1915年に父から資生堂の経営を引き継ぎつつ、その後も写真を続け、撮影するだけでなく絵画や俳句との関係性を模索し、多くの文章をのこしています。福原は「写真芸術は詩人である日本人によって初めて芸術的に生かされる」と語っています。四季の風景や、和歌の時代から自然という芸術を享受し、言葉で表現してきた日本人は、写真を芸術に出来ると信じていたのです。明治といえば、正岡子規らによって写生俳句が確立した時代です。福原は和歌より集約された五七五の17音で見たものを「切り取る」表現に写真との共通点を感じ、興味をもっていました。福原自身が俳句を詠んでいたことはわずかな記録しかなく、鑑賞することがかなわないのは残念なのですが、彼が残した語録や写真作品からその表現性を感じることができます。

レトロな写真機ーイメージ

レトロな写真機ーイメージ


実業家としての福原

父から引き継いだ資生堂に化粧品部門と意匠(広報)部門を新たに設置し、当時まだ数少ない「ギャラリー」を1919年に創業しました。現存するギャラリーの中では最古となるこの場所は来年100周年迎えます。人々が集い、出会い、語り合う場所の大切さを多くの人にシェアしたいという想いから、ギャラリーやパーラーの開業をしました。化粧品部門・ギャラリー・パーラー、いずれも「人を彩る」「美は日常の中にある」という福原の実業家としての信念によるもので、現代にも通じる感覚に思えるのは福原の先進性を表わしているようです。先進性という面では、現在も取り組まれている女性のライフスタイル向上と社会進出の促進に力を注いでいたことも付け加えなければなりませんね。

秋の彩りといえば

秋の彩りといえば


福原の足跡をたどる展覧会は、1st、2ndの2期

現在開催中の1stでは、ギャラリー空間をコーヒーハウスに見立て、中央にコーヒーカウンターを設置した、木のぬくもりとやわらかな照明は時代を超えた空間となっています。福原がギャラリーやパーラーに込めた想いがミックスされたようですね。さりげない展示とコーヒーの香りの中、明治・大正・昭和を生きた一人の芸術家の存在を感じることができるでしょう。一転、2ndでは、1stで表現された「出会いと語りの場」の内面性を継承し異なる形で表現している、イギリスの建築家集団「ASSEMBLE(アッセンブル)」と日本のアーティストスタジオ「THE EUGENE Studio(ユージーンスタジオ)」のコラボレーションとなります。ASSEMBLEはターナー賞を受賞したリバプールでのワークショップを銀座で再現します。まさに、「それを超えて美に参与する」福原の信念の再現でもありますね。「それ」とは何を指すのだろう?と思ったのですが、人により、時により常に違うものなのかもしれません。今目の前にある壁のようなもの、それぞれ違う何かを超えることが美への挑戦なのだと。

出典

・資生堂ギャラリー 展覧会資料

・「花椿」付録 福原信三の美

スマホ撮影にも美意識を

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