梅雨の時期は体を動かしたくても、今日のように強い風と激しい雨が降り続く日は、屋外でのスポーツはなかなか難しいものもあります。それでも、そんな梅雨のジメジメも吹っ飛ばすかのような、爽快さを味わえるスポーツがあります。日本の伝統武術「空手」です。空手は2020年の東京五輪で正式種目に選ばれたことで、今注目を浴びているスポーツでもあります。子どもから大人まで楽しめる空手とは一体どんなスポーツなのでしょうか?
一見不思議なルールも、その奥深さを知ればより楽しめることでしょう。
ルーツは沖縄。「唐手」から「空手」に?
今では日本の各地に空手道場があり、幅広い層に親しまれている空手ですが、もともとは沖縄から伝わったといわれています。空手は口頭伝承(言葉によって語り継がれる様式)が多かったため、諸説ありますが、沖縄独特の護身のための武術が発祥という説が有力です。
沖縄が琉球国だった時代、15~16世紀頃には「ティー」(手)と呼ばれていた武術がありました。中国や東南アジアなど海外との、貿易を行っていた琉球国は様々な文化を取り入れていき、「唐手」に変化したといいます。そこから明治に入り、現在の「空手」という呼び名に定着したといわれています。
戦いの「組手」、美しさの「形」
空手というと、突きや蹴りなど、武術ならではの動きになじみがありますが、試合の形式やルールは経験者でないとわかりにくいところがありますが、空手は大きく分けると「組手」と「形」というふたつの種目に分類されますので、初心者はここから理解すると面白さがグンと増すはずです。
■組手
個人戦で行われる。どちらが効果的な「突き」「蹴り」「打ち」といった攻撃を「極める」ことができるかを競う。ただし、相手にダメージを与えてはいけない。攻撃は相手にけがをさせないよう、コントロールされなければならない。
■形
世界空手連盟(WKF)によって定められた75種類の「形」の中から選択し、演武を行う。ふたりの選手が順番に演武を行い、5人の審判のジャッジによって勝敗が決定。その「形」に対する理解、リズム、バランスなど総合的に判断される。
組手、形ともに、初めて空手を見る人にとっては、どちらが勝ったのかわかりにくい試合もあることでしょう。
ただ、他の格闘技とはまた異なった空手独特の間合いや緊張感は興味深く、新鮮さを感じられるのではないでしょうか。
世界の空手事情
2020年の東京五輪で新種目として加わることになった空手は、東京大会では男女3階級の組手、男女の形、全8種目が行われることが決定しました。日本伝統の武術である空手ですから、当然2020年もメダルの期待がかかります。
昨年10月に行われた世界空手道選手権では、日本の選手が男女とも形で見事優勝を果たしました。また、組手でも女子3選手、男子1選手が表彰台に上がり活躍を見せました。
実は東京五輪では、世界空手道選手権よりも階級が5 → 3に絞られてしまいます。そのため、国内での出場権争いも激しい戦いとなることでしょう。
ちなみにWKFには180を超える国が加盟しており、世界の競技人口は約6000万人といわれています。これは、野球・ソフトボールの世界の競技人口と同じくらいだそうです。空手もこれから世界的なメジャースポーツとなるために、東京でのインパクトがとても大事なものになるでしょう。
―― 子どもから大人まで、年齢を問わず楽しめる競技でもある空手。その凜とした動作、姿は、武士道息づく日本人にとって心ひかれるものがあることでしょう。