独特の香りと歯ごたえで、日本では同じみの根菜「牛蒡(ごぼう)」。
中国では、野生の「ごぼう」が、風邪の症状や解毒の薬、蕁麻疹や化膿止めなどの皮膚の薬として重宝された歴史も長く、ごぼうの種「牛蒡子」は今も漢方として、冷え性やアレルギー性皮膚炎などに使われています。手軽に取り入れらると「ごぼう茶」も数年前よりブームとなりましたね。
日本に渡来したのは縄文時代、今のような食用の記録が初めてあるのは平安時代、柳川鍋など庶民でも楽しまれるようになったのは江戸時代と言われています。
さて、この「ごぼう」の旬ですが晩秋から冬。一方、初夏が旬の夏ごぼうとも呼ばれる新ごぼうは主に九州地方で生産され、こちらも柔らかく香りが良いので人気があります。関西で食される若ごぼうと呼ばれる葉ごぼうは、春先に旬を迎えます。
冬が旬の「ごぼう」には、滝川ごぼうなどやわらかい土の関東で中心に作られる長い種類、堀川ごぼうなど関西で作られる短めの種類など様々があり、今が美味しく楽しめる季節です。
強くなれる? 精がつくから? 「きんぴらごぼう」の由来
「きんぴら」の語源は、江戸の和泉太夫が語りを行った『金平浄瑠璃』が由来となっています。
おとぎ話で有名な金太郎。この金太郎の子供という設定で坂田金平(さかたのきんぴら)が登場するお話です。
金太郎の子供ですので物凄く勇ましく強い!
そんなお話から、強くて丈夫なものには「金平足袋」や「金平糊」など全て「きんぴら」をつけるのがこの時代の流行だったようです。
ごぼうの歯ごたえが強いこと、また食べると精がつくことから「きんぴらごぼう」。ごぼう料理名にまで「きんぴら」がつくなんて面白いですね。
食物繊維に抗酸化作用のポリフェノールとは鬼に金棒!? 風邪予防と老化予防に!
まずは何といっても食物繊維で知られている「ごぼう」。
腸内環境を整え利尿や便通によるデトックスで健康を維持してくれる食物繊維の一日の推奨摂取量は20g~25g。これに対し日本人は平均約15gで全く不足しています。らっきょうやキャベツやレタスなどの繊維の多い野菜はありますが、食べられる量や重さに対する食物繊維の量は「ごぼう」が群を抜いてます。また「ごぼう」は水溶性、不溶性双方の食物繊維をバランスよく持ち、水溶性食物繊維「イヌリン」は腸の働きを整え、血糖値の上昇を抑える作用があるといわれます。また不溶性食物繊維の「リグニン」もコレステロール値を抑制する作用や、腸のぜん動運動を活発にさせる作用があるとされます。
これに加えて「ごぼう」の強さの魅力は、強い抗菌力と抗酸化作用のある「タンニン」「クロロゲン酸」「アルクチゲニン」「サポニン」などのポリフェノールが豊富なこと。風邪予防や老化予防などの効果が期待できます。
ごぼうを食用としているのは日本のほか台湾や韓国など一部だけだそうです。美味しくてこんなに体に良いのにもったいないですね。
手軽にとれるごぼう茶やごぼうチップスなどのお菓子もおすすめ。ですが、旬の今なら、せっかくなので丸ごと楽しみたいものです!
お箸がとまらない! 炒めるだけ! 香ばしい「甘辛ごぼう」のレシピ!
ごぼうの風味やうま味と栄養をもれなくいただくポイントは皮にあります! 泥や皮をたわしでこするようにして洗い、成るべく皮をいただくように調理します。たわしがない場合は、包丁の背でこそいでもよいですね。
日がたつにつれ、風味がおちますので、一度に使い切るのが理想ですが、量が多くて使い切れないときは、ささがきにしたものを軽くゆでてしっかりと水気を切り、保存用袋などに入れて冷凍すると長持ちします。
本日は、簡単に1本は食べられる、おかずやおつまみになるごぼうレシピをご案内いたします。
【甘辛ごぼう】
<材料>
・ごぼう 1本
・片栗粉 適宜
・しょうゆ 大さじ
・酒 大さじ2
・砂糖 大さじ2
・ごま 小さじ2
・ごま油
<作り方>
1、こするようにして洗ったごぼうを、お好みの長さで大き目の乱切りにする
2、ビニール袋などを使って、切ったごぼうに片栗粉をまぶす
3、2のごぼうをごま油で炒める
4、火が通ったら砂糖、酒、しょうゆを回しいれ調味料が絡んだら、ごまをふりかけ完成
1本と言わず何本も食べたくなるレシピです。
いわしのつみれ汁や豚汁などの汁物に、かき揚げや唐揚げ、鶏肉・牛肉・豚肉とあわせて煮ても炒めても、卵でとじて柳川にしても美味しい「ごぼう」です。
寒さも厳しさを増し、冬らしい気候となってまいりましたが、風邪など召さぬよう「ごぼう」を食べて元気に乗り切りましょう!
参照:旬の食材百科、語源由来辞典