
サッカー女子のWEリーグ第3節が23日に行われ、ちふれASエルフェン埼玉は敵地ノエビアスタジアム神戸でINAC神戸レオネッサに1-2で敗れた。
この試合、後半30分から途中出場した選手に大きな拍手が送られた。28歳のMF瀬野有希(せの・ゆうき)。3月25日に第1子の男児を出産してから、わずか5カ月で試合復帰を果たした。
WEリーグの公式X(旧ツイッター)で「出産を経て、EL埼玉・瀬野有希がピッチに復帰!」と紹介され、FW高橋美夕紀に代わってピッチに入る動画がアップされた。151日前に出産したばかりだった。
瀬野は1996年(平8)12月30日生まれ、埼玉県出身。168センチ、64キロのMFで、修徳高(東京)から日本体育大(日体大)を経て、日体大FIELDS横浜、スフィーダ世田谷FC経由で21年1月、WEリーグちふれ埼玉に加入した。
25歳だった翌22年2月に一般男性との結婚を発表。27歳になった24年11月には妊娠を明らかにし、新しい命を授かったことや安定期に入ったことを報告した。
判明した時には、うれしい気持ちと同時に戸惑いもあったといい「チームを離脱しなければならないことと、競技復帰できるのかという不安がありました。私としては、まだサッカーを辞めたくないという気持ちが強く、復帰を目指すことを決意しました」と記していた。
25年3月25日に男の子を出産。クラブを通じ「1日でも早くピッチに戻れるように、時間はかかるかもしれませんが、まずは回復と育児に努めようと思っています」とコメントし、インスタグラムにも4月1日に子を抱く産後の写真を掲載していたが、それから5カ月弱で体調を戻し、国内最高峰の舞台に帰ってきた。女性アスリートの「出産=引退」を、半年足らずで覆してみせた。
ちふれ埼玉の公式Xも「出産後455日ぶりに公式戦復帰」とポスト。「2025年3月に出産した瀬野有希選手が、2024年5月25日に行われた2023-24WEリーグ第22節千葉L戦以来、約1年3か月ぶりに公式戦に復帰いたしました! ゆうき おかえり」と歓迎した。
カムバックに向けては、産後は胸椎周りが固くなるため、ほぐすために背中のストレッチをする動画などを公開していた。「復帰は来年」とも予想されていた中、驚異の出産151日後の試合出場。敗れはしたものの、女性アスリートにとって大きな1歩を踏んだ。
出産を経験してピッチに戻った女子サッカー選手には、日本代表なでしこジャパンだったMF宮本ともみさん、日テレ・東京ヴェルディベレーザで今も現役のDF岩清水梓らがいる。宮本さんは05年に出産して翌06年に復帰、石清水は20年に出産して同じく翌21年に復帰していた。