
<全国高校野球選手権:日大三5-3関東第一>◇19日◇準々決勝
15年ぶり東京決戦は「強打の三高」に軍配が上がった。日大三(西東京)が昨夏準優勝の関東第一(東東京)を5-3で破り、7年ぶりの4強入りを決めた。4番田中諒内野手(2年)が新基準の低反発バット導入では初となる大会2発を打ち上げるなど9安打5得点を挙げ、相手エース坂本慎太郎投手(3年)を攻略した。中1日の21日の準決勝は横浜(神奈川)の春夏連覇を阻んだ県岐阜商との対戦が決まった。山梨学院は3試合連続2ケタ安打となる13安打11得点で夏初の4強入り決め、準決勝は初4強の沖縄尚学と対戦する。
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「飛ばないバット」をものともしない。甲子園に詰めかけた観客も度肝を抜かすような特大の1発が飛び出した。田中諒は「真っすぐで勝負はしてこないと思ったので、カーブに狙いを定めてました」。2点リードの5回2死。カウント3-1から、関東第一のエース坂本のカーブを捉えた。初戦の豊橋中央(愛知)戦に続く大会2発目。昨春のセンバツで新基準の低反発バットが導入されてからでは初となる1大会2本塁打だ。
15年ぶりの東京対決を控え、試合前に三木有造監督(51)からチーム全体に「低めは捨てて、高めに焦点を当てよう」と方針が定められた。田中諒もこれにのっとり、高めに浮いた変化球を仕留めた。「そこまで飛んでいる自覚はなかったんですけど、高校生活でも今までで一番飛んだと思います」と自分でも驚くアーチだった。名門を引っ張る2年生が、とんでもないパワーを見せつけた。
大会3試合を終えてのチーム打率は3割1分1厘で、4強に残ったうちでは山梨学院(3割9分8厘)に次ぐ2位だ。昨夏の西東京大会決勝で早実(●9-10)に打ち負けたことをきっかけに、新チームからはどんな強敵にも打ち勝つべく打撃練習に特化した。1回のフリー打撃を従来の15球から30球へと倍増し、質よりもまずは量と徹底的に振り込んだ。地力を付けると、低反発バットもなんの。「低く強い打球が打てれば、ヒットの確率は高まる」を合言葉に、充実の打線が機能した。
前監督の小倉全由氏(68)から続く「強打の三高」は、2年前にバトンを受け取った三木監督の下で今も生きている。現地で見守った名将も「三木監督のカラーで、三木監督のチームをつくったな」とうならせる戦いぶりで、“シン日大三”が14年ぶりの頂点へ視界良好だ。【平山連】
◆田中諒(たなか・りょう)2008年(平20)11月6日、東京・中央区生まれ。小学1年で野球を始め、6年時は巨人ジュニアとしてNPBジュニアトーナメントに出場。晴海中時代は東京・玉川シニアでプレー。日大三では1年秋の東京大会からベンチ入り。目標の選手は大谷翔平と鈴木誠也。高校通算20本塁打。50メートル走6秒8、遠投95メートル。180センチ、92キロ。右投げ右打ち。