
アルビレックス新潟の新助っ人、スウェーデン出身のFWアブデルラフマン・ブーダ・サイディ(25)が敵地での11日セレッソ大阪戦でベールを脱ぐ。7月末に合流して約2週間。笑顔を見せた10日の最終調整では、ブラジル出身のMFミゲル(22)との、ぎこちない「じゃんけん」で屈したが、デビュー戦に向けて運は残してある。最前線で相手センターバックとの駆け引きに勝って、来日初ゴールで勝ち点3を引き寄せる。
J1残留の救世主が、日本デビュー戦で衝撃を与える。勝って連敗を5で止めたいC大阪戦前日。チームは中断期間で得た手応えもあってか、明るい雰囲気で練習を終えた。7月26日に合流したばかりのブーダも、仲間と肩を組んで笑顔を見せるなど既に溶け込んでいる。「ストレスなくいい状態でプレーできている。確実に勝ち点を取りたい」。
ホイッスルが鳴った時に「鳥かご(4対1のパス回し)」の守備役1人が別グループに移動しなければならないセッションでは、移動を巡ってミゲルとじゃんけん対決。掛け声のタイミングが合わず、ブーダが負けた。「じゃんけんというのは本当に難しい。そもそもミゲルが理解しているか怪しい(笑い)」。猛抗議を続けたが判定は覆らず、同じグループにいた選手たちから爆笑で追い出された。「(ミゲルと)お互いに学び、向上していきたい。試合に勝てるように運は取っておいてある」と笑った。
サッカーはじゃんけんのように「遊び心」が大事。フィニッシャーとしては「ボールとゴール。そして相手の状況を見て、どうすれば簡単にスコアできるかを考えている。裏を取れれば相手がいる、いないは関係ない」。体をぶつけ合って真っ向勝負か。先にスペースに入り込む先出しか。遅れて走り込む後出しか。ゴールを奪うための引き出しは多い。
プロデビューしてからスウェーデンリーグで活躍して来たが、初めての海外挑戦に日本を選んだ。応援スタイルの違いからゲーム中は声が通らず、しかも言語の違いで「音」でコミュニケーションを取ることは難しくなるが、「練習の中からアイコンタクトで多くの情報を共有し、試合で生かしていく」。プレーを通して感情や意思を伝え合い、共感して、J1残留につながるゴールを重ねていく。【小林忠】
○…日本発祥といわれるじゃんけん。スウェーデン大使館の公式X(旧ツイッター)によると「じゃんけんぽん」はスウェーデン語でsten(すてーん)、sax(さっくす)、pase(ぽーせ)といい、「石、ハサミ、バッグ」の意味を持つとのこと。ブーダは日本でよく使われる「最初はグー」のように、「すてーん、さっくす、ぽーせ」と1度、相手と呼吸を合わせてから勝負の1手を出す、と力説。ブラジル出身のミゲルとは英語で勝負を展開したようだが、タイミングをずらされ、敗れた。