
<日本生命セ・パ交流戦:巨人5-0楽天>◇8日◇東京ドーム
この秋、長嶋さんに優勝の報告を-。巨人は「日本生命セ・パ交流戦」の楽天戦に快勝し、2連勝。3日に亡くなった長嶋茂雄終身名誉監督の通夜と告別式の日に白星をささげて、交流戦最下位を脱出した。エース戸郷翔征投手(25)が7回無失点で2勝目。岸田行倫捕手(28)が2号満塁本塁打を含む全5打点を挙げた。阿部慎之助監督(46)は「いい報告をね、優勝してしたいなと思います」と力強く誓った。
◇ ◇ ◇
「ミスター」が愛した巨人が、長嶋さんの告別式の日に快勝した。エース戸郷が快投し、女房役の岸田が満塁本塁打を含む5打点。ファンを魅了し、熱狂させた「長嶋野球」を後輩たちが、本拠地東京ドームで体現した。阿部監督は「勝ち越せたことがすごく大きいですし、素晴らしい試合でした」と投打がかみ合った白星を評価した。
阿部監督に「ミスター」の魂が宿ったかのようだった。1点リードの8回2死満塁、岸田が楽天藤平の初球をフルスイング。打球が左翼席に飛び込んだ瞬間、指揮官は「思わず、手を上げてしまった」。ベンチでも表情豊かに指揮した長嶋監督のように感情をあらわにし「いや、もうスカッとしました、久しぶりに」と笑った。
7日の楽天戦後、ウイニングボールとともに長嶋さんの通夜に参列し、感謝の思いを伝えた。寂しさが込み上げるとともに「慎之助、大丈夫、今日は勝つよ」と長嶋さんから掛けられ「何度も救われた」言葉が頭を駆け巡った。そして、心の中で“約束”した。
「これからもずっと巨人のことを心配して、気にかけてくださると思います。安心して見ていただけるような強い巨人になるようチーム一丸となり、精いっぱい頑張ります」
亡くなってもなお、「ミスター」の力を感じた。7日、長嶋さんのひつぎを乗せた車は東京ドーム周辺を通った後に斎場に到着。その直後に2本のソロで先制した。「ゾクッときちゃった。打ったのは本人たちだけど、長嶋さんが打たせてくれたっていうのもある」とかみしめるように話した。
試合後のテレビインタビュー。阿部監督は長嶋さんを思いながら、力強く誓って、会見を締めた。「いい報告をね、優勝してしたいなと思いますので、とにかく僕たちは1日1日勝っていくしかありません」。長嶋さんから受け継いだ魂とともに、永久不滅の巨人軍を強くする。【久保賢吾】