
<日本生命セ・パ交流戦:巨人0-2楽天>◇6日◇東京ドーム
東京ドームのスポットライトを浴びたのは、楽天の背番号「3」浅村栄斗内野手だった。前打者の辰己が併殺打に倒れ、0-0で迎えた6回2死。1ボールからのスライダーを捉えた。
「ゲッツーの後だったので、長打を狙ってたんですけど、久しぶりに自分の感覚で打てて良かったです。ボールの上をたたいたんで、ちょっとドライブっぽい感じだったんですけど、何とか届いてくれてよかったです」
「ミスタープロ野球」と称された長嶋さんを彷彿(ほうふつ)とさせるような豪快なスイングで左中間席に決勝の5号ソロをたたき込み、「4番の仕事」でチームを勝利に導いた。
1点リードの8回1死三塁では、巨人田中瑛の内角に食い込むシュートを三塁線にはじき返し、技ありの適時二塁打。チャンスで勝負強さも発揮した。
この日は、プロ野球界をけん引し続けた長嶋さんの死去後初となる東京ドームでの一戦だった。「偉大すぎて、僕が語るレベルではないので」と恐縮しながらも、試合前には黙とうをささげ、哀悼の意を表してグラウンドに立った。
「本当に野球界になくてはならない存在の方。残念な気持ちではありますけど、試合になればしっかりと仕事をしようと思った」
西武時代から師匠と尊敬する中島宏之氏に憧れ、西武時代の17年シーズンから背番号「3」を背負い続ける。通算2000安打、300本塁打、2000試合出場…。数々の偉業を浅村は背番号「3」とともに達成した。
この日は4月23日の日本ハム戦以来の1発で勝利に貢献した。「ピッチャーも頑張ってましたし、ピッチャーが頑張って4番が打てば、チームとしては一番いい形なんでベストな試合だったと思います」と充実感を漂わせた。【久保賢吾】