元巨人でヤンキースGM付特別アドバイザーの松井秀喜氏（50）が、3日になくなった長嶋茂雄名誉監督にただ一度のお願いを断られていたと明かした。
3日に逝去した師の告別式が8日に都内で執り行われ、弔辞を読み上げた。その中で「監督、私は現役時代に一度だけ監督にお願いしたことを覚えていますか」と切り出した。
松井氏 私はセンターを守っておりましたが、「監督、どうせなら私、サードやらしてくださいよ」とお願いしました。そしたら、「お前はサードじゃないよ。お前はやっぱりセンターだ。俺はお前をジョー・ディマジオにしたいんだ」とおっしゃってくださいました。私は全くピンときておりませんでした。
ある日、素振りで監督のご自宅にお邪魔した時、私はそこにジョー・ディマジオのバットとジョー・ディマジオの大きな写真があることに気づきました。見逃しませんでした。
監督は本当にジョー・ディマジオが好きなんだなと思って、また、その選手のようになれと言ってくれたことに、本当にその時、幸せに感じました。それから私は喜んでセンターが大好きになりました。その時、監督は、私がジョー・ディマジオと同じユニホームを着て、同じグラウンドでプレーすることを夢に思っていなかったと思います。
祭壇に飾られた笑顔の遺影を見つめながら、“サードの後継者”にはしなかった英断に、あらためて感謝した。
後にディマジオがプレーしたヤンキースのユニホームに腕を通すことになった。「私が引退して、監督にあいさつに行った時、『監督がジョー・ディマジオって言ったから、私、ヤンキースに行ったんですよ』って言ったら、この笑顔を見せてくださいました。その時、初めて私は、大好きなジャイアンツを去ることになりましたが、これで良かったんだと思いました」と振り返った。
