
NHKは8日、3日に89歳で死去した巨人長嶋茂雄終身名誉監督の生涯を振り返ったNHKスペシャル「さよならミスタープロ野球」を放送した。
「ON砲」として巨人黄金期を築いた盟友のソフトバンク王貞治球団会長(85)、元巨人でヤンキースGM付特別アドバイザーの愛弟子松井秀喜氏(50)など関係者の証言がVTRで紹介された。
愛弟子松井氏はMVP3度、首位打者1度、本塁打王3度、打点王3度と数々のタイトルを獲得する国民的スーパースターへ成長。
03年に大リーグのヤンキースに移籍。長嶋さんは、松井氏に自らの夢を託していた。大学時代からメジャーに憧れ、現役時代に移籍話も持ち上がっていた長嶋さんは、56試合連続安打記録を持つヤンキースのジョー・ディマジオに憧れを抱いていた。松井氏へ「日本のジョー・ディマジオにしたいんだ」と伝えた。
長嶋さんの自宅に何枚も写真が保管されていたといい「そのときに自分の中でヤンキースのジョー・ディマジオが少しずつ大きくなって。メジャーに行くなら絶対ヤンキースに行きたいと思っていた」と語った。
松井氏はデビュー戦で満塁本塁打をマークする鮮烈なインパクトを残し、世界最高峰の舞台で米国のファンも魅了していった。
長嶋さんは日本から米国で活躍する姿を見届けた。打撃不振に陥ると、国際電話をつないで素振りの音を聞き助言を送った。
松井氏は06年、左手首を骨折して連続試合出場が1768試合で途切れた。その際も長嶋さんからすぐさま電話がかかってきたといい「とにかくしっかりリハビリすれば大丈夫だから。復活のときを信じて頑張りなさい」と励まされたという。
09年にリハビリから復帰し、同年のワールドシリーズでMVPを獲得。長嶋さんは「ヤンキースの4番バッターよ。MVPを取って。このバット1本で松井くんをつくるんだからね」と松井のバットを見つめながら感慨深そうに話していた。
松井氏は長嶋さんが亡くなった3日の翌日、アメリカから緊急帰国して師匠の自宅に駆けつけた。「素振りで会話したというか。素振りを通じて野球選手として大事な部分を授けてくださった。そのことが一番の幸運でもあり、一番感謝している部分です」と2時間で2人きりの会話を交わした。その中で「今後どういう形で次の世代に継承していくかはっきりとした形は見えませんが、長嶋監督と生前約束したことはありますので。ここではいまはお話できませんが。その約束は果たしたいなと思います」と今後の展望について語っていた。