
ドジャース大谷翔平投手が、両リーグ20号一番乗りを果たしました。5月に2桁本塁打を放つなど早くもホームラン量産態勢に入っています。6月は2021年が13本、23年が15本、昨年が12本と、最も好調な月として相性抜群。まさに「ショータイム」の季節到来です。
例年6月は全米各地で気温が上昇。それとともに打球が飛び、試合数も多いせいか、メジャーリーグで月別の月間最多本塁打記録を見ても、3、4月が14本、5月が17本、6月が20本、7月が16本、8月が18本、9、10月が17本と、6カ月間で最も多い記録が生まれています。
6月の月間最多記録を作ったのは、1998年のサミー・ソーサ(カブス)でした。それまで1930年ベーブ・ルース(ヤンキース)、34年ボブ・ジョンソン(アスレチックス)、61年ロジャー・マリス(ヤンキース)、85年ペドロ・ゲレロ(ドジャース)の各15本という記録を大幅に更新しました。
その年、ソーサは5月31日時点でマーク・マグワイア(カージナルス)の27本に対し、13本と本塁打王争いで大きく離されていました。ところが、6月に入ると5試合連続弾や1試合3発、さらに1試合2発を3回も記録するなど、驚異的なペースでホームランを量産。全米を熱狂させる史上空前の本塁打レースが展開されました。
その後、2004年にジム・トーミ(フィリーズ)が15本、21年にカイル・シュワバー(当時ナショナルズ、現フィリーズ)が16本、23年には大谷(当時エンゼルス)も15本塁打をマーク。6月の月間記録で3位タイとなりました。
昨年末、ソーサがステロイド疑惑に「法律を破ったことはない。ただ、今思えば、私は失敗した」と謝罪声明を発表。メジャー通算609本塁打をはじめ、数々の偉業に疑問視する声はありますが、6月の月間最多本塁打記録を破る選手は1人も出ていません。そこで、今月大谷は何本のホームランを打つか、注目したいです。
今月ドジャースは、本拠地ドジャースタジアムで27試合中15試合を行います。また、米東部遠征がなく、最も遠いところでも中西部のセントルイスやカンザスシティーまで。それほど過酷なスケジュールではありません。
ただし、今月はヤンキースとの3連戦が終わったあとも、東地区首位を争うメッツ、中地区で最近好調のカージナルス、同じ西地区でライバル関係にあるパドレス、ジャイアンツ、再びパドレスと、手ごわいチームとの対戦がめじろ押し。その上、各チームの投手陣はリーグ上位の防御率を誇り、被本塁打も少ないです。それだけに大谷が例年通りホームランを量産するのは、容易でありません。
それでも、昨年6月はパイレーツの怪物ポール・スキーンズ投手から、自身初めて時速100マイル(約161キロ)以上の剛速球をホームランにするなど、一流投手を攻略する実績も十分あるだけに期待が持てます。
ちなみに、メジャーで6月30日までの最多本塁打記録は、2001年バリー・ボンズ(ジャイアンツ)の39本です。その年ボンズはマグワイアの70本を上回る、前人未到の73本塁打を記録。そのボンズもまた薬物使用疑惑がある選手ですが、大谷が6月までの記録もどこまで迫るか注目したいところです。
3年連続本塁打王を目指す大谷にとって、6月は「勝負月」。毎年好調な6月の成績次第では、夢の60本への期待も膨らんで来るかも知れません。
【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)