
<巨人4-7中日>◇18日◇東京ドーム
盆と正月にクリスマスまでやってきた!? 中日が3年ぶりの1試合4発で巨人との空中戦を制した。
7回に7番山本泰寛内野手(31)が2打席連発となる2号ソロを放つと、代打の板山祐太郎内野手(31)も1号2ランを放って逆転に成功した。チームは昨季からの東京ドーム連敗を9でストップ。今季初の同一カード3連敗を逃れ、借金は3に減らした。井上一樹監督(53)の口も滑らかだ。
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試合終了直後、東京ドームの通路に現れた井上監督は喜色満面だった。「うちのゲームとしてもめったに見られないんじゃない? 珍しい感じだけど、今日はもう意地をみんなが出してくれた」。中日にとって22年4月7日ヤクルト戦(神宮)以来3年ぶり、巨人戦では21年9月10日(東京ドーム)以来4シーズンぶりの1試合4発だ。この試合まで13本塁打と12球団ワーストだった打線が覚醒。6安打で今季最多7得点と効率よく得点を重ねた。
アーチを描いたのは元阪神コンビだ。7番スタメンの山本が5回に左越えの1号ソロを放つと、7回1死の場面では巨人船迫のスライダーを強振。巨人、阪神と渡り歩き、24年に中日のユニホームを着てから1本塁打の「伏兵」が、まさかまさかの2打席連発。この一撃で1点差まで追い上げると、1死一塁から代打板山が逆転2ランを右中間席に運んだ。
阪神コーチ時代から2人を知る井上監督もうれしくてたまらない。山本の2連発を「お盆とお正月(が一緒に来た)」と大喜び。さらに板山が放ったプロ初の代打本塁打は「クリスマス!」と表現した。試合は1点リードの5回に巨人の代打リチャードが放った3ランで決したかに思われたが、終盤の「代打返し」で再逆転。指揮官の起用もズバリ的中した。
中日にとって東京ドームは昨季から9連敗とまさに鬼門だった。そんな歴史も吹き飛ばす本塁打攻勢。8回にはチームにとって今季初の4番弾となるボスラーの2号2ランまで飛び出した。今季初となる同一カード3連敗も回避。井上監督は「3つの黒星ということだけは避けたいところ。今日は救われた試合」と大きな1勝と位置づけた。5位と順位は変わらないが、借金は3。まずは5割復帰へ。勢いを取り戻すゲームになった。【桝井聡】
▽中日山本(2打席連続本塁打。7回の2号ソロは)「ストレート、スライダーどちらでも反応できるようにという中で、反応して打った結果、最高の形になってくれた」
▽中日板山(7回に逆転の1号2ラン)「後ろにつなぐ意識で打席に入った。(同学年の山本の活躍に)ヤス(山本)が打つと僕の出番は減る。でも、ヤスが打ったら僕もうれしい」
◆山本泰寛(やまもと・やすひろ)1993年(平5)10月10日、東京都生まれ。慶応-慶大を経て、15年ドラフト5位で巨人入団。16年5月1日ヤクルト戦で初出場。17年10月3日ヤクルト戦で初本塁打となる満塁弾。20年オフに金銭トレードで阪神移籍。21年4月3日中日戦でサヨナラ安打。23年オフに自由契約となり、中日移籍。今季推定年俸2000万円。176センチ、76キロ。右投げ右打ち。
◆板山祐太郎(いたやま・ゆうたろう)1994年(平6)3月27日、神奈川県生まれ。成立学園-亜大を経て15年ドラフト6位で阪神入団。16年4月22日広島戦で1軍デビュー。18年5月12日広島戦で初本塁打。23年オフに自由契約となり、育成契約で中日移籍。24年5月に支配下復帰し、7月7日広島戦で栗林からサヨナラ安打。今季推定年俸1400万円。180センチ、88キロ。右投げ左打ち。