
<阪神4-0ヤクルト>◇2日◇甲子園
子どもたちの前でMVPの輝き再び! 阪神村上頌樹投手(26)がチームの完封一番乗りで、両リーグ単独トップの5勝目を挙げた。スコアボードの両軍オーダーが平仮名と片仮名表記になるなど、「ゴールデンウイークこどもまつり」として開催された3連戦の初戦。ヤクルト打線相手に5安打7奪三振の快投で連敗を4で止め、子どもたちを喜ばせた。昨季7勝に終わった23年のMVP右腕が完全復活、無双の勢いだ。
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9回2死、打者オスナ。連敗中とあってか、「あと1人」コールは少しトーンが高かった。「阪神はすごいな…」。完封目前の村上は感激していた。初球がこの日最速の148キロ。最後は122球目の外角147キロで右飛に仕留めた。今季チーム初完投初完封。自身、2年ぶり2度目の0封勝利だ。
「最初から1人で投げ抜く気持ちでいました。開幕戦は(完封まで)あと1人で投げ切れなかった。その悔しさを今日、晴らそうと思っていました」
初回先頭から2連続三振。ストライクゾーンで強気に勝負を続けた。2回、4回は3アウト目を見逃し三振で奪った。5回1死一塁では武岡のライナーをつかんで、併殺。持ち前の制球力にフォーク、スライダーも切れた。0-0で進んだ6回、佐藤輝の先制打などで待ちに待った3点の援護をもらった。「あれで、あと3回、自分で投げ切ろうと思った」。無四球、被安打5、7奪三振で勝利のゴールテープを切った。
恒例の「ゴールデンウイークこどもまつり」の初日。スコアボードの選手や審判員表記が平仮名と片仮名になり「こどものころのじまんばなし」も披露された。村上の自慢は「少年野球でいっぱい優勝した」こと。あのころのように、気合十分で腕を振った。
地元の淡路島も少子化の波が進む。昨年12月に訪れた母校の賀集(かしゅう)小学校で自分がやるべきことを再確認した。自分を生で見た小学生が「村上や…」と目を輝かせていた。「自分の頑張る姿を見て、何かのきっかけにしてほしい。野球じゃなくてもいい」。体は大きくなくても技術を磨き、強い心を持ってプロの世界で戦う姿を見せようと、改めて心に刻んだ1日になった。
9連戦の4試合目、チームの連敗を4で止めた。ゲラが不振で石井も体調不良で抜けたブルペン陣は苦しい。「リリーフの方々がたくさん投げていた。最低でも8回は投げようと思っていた」。両リーグ単独トップの5勝目。昨季は7勝11敗に終わった23年MVP右腕が輝きを取り戻した。
藤川監督は「本当に素晴らしかった。最後にあのパワーを出せる」とたたえた。みんなのあこがれ、甲子園。「むらかみ」と言えば、宗隆ではなく「しょうき」。誰よりも格好いいヒーローだった。【柏原誠】
▽阪神坂本(村上の完封をリード)「連敗中というのもあるし、気持ちも入っていたと思う。中継ぎ陣もすごく頑張ってくれているけど、こういう日があると中継ぎ陣も助かる。それがチームワークだと思います」