
<阪神8-1広島>◇20日◇甲子園
これが見たかった。もっと見せてくれ。虎党の渇望に応えるように、阪神佐藤輝明内野手(26)が2発6打点と大爆発した。
「カープに3つ負けるわけにいかなかった。伊原が初先発だったので、早めに援護点をあげたかった。いい投球をしていて『やるな』と思っていました」
初回、バックスクリーン左に6号2ラン。甲子園7試合目で猛虎戦士が初めて放った本塁打だった。伊原の背中を力強く押す先制の1発を放つと、もう止まらない。3回には右翼にライナーの適時二塁打。そして締めは5回1死二、三塁、下手投げの鈴木の低め127キロを完璧にとらえた7号3ランを、1本目と同じような場所に放り込んだ。興奮のるつぼと化した夢の空間を、背番号8は再び大股で駆け抜けた。
浜風に乗せた2発。「伸びたんですかね…。分からないですね」。逆方向への長打は、オフから取り組んできた個人的ミッション。「今までやってきたことが、いい感覚で試合でもできている」と誇らしげだ。
近大時代からメジャーの打撃映像を見るのが好きだった。フライボール革命の流行に胸を躍らせ、同僚とドデカいアーチを描く夢を語り合った。阪神の主砲の看板を背負う今は、少し違う。メジャーへの憧れは変わらないが、目がいくのは「投手」だ。「何か見ちゃうんですよね、いいピッチャーが画面に出てくると」。夢中で画面に没頭する時間も成長につなげている。
1試合最多打点は23年5月14日のDeNA戦(甲子園)の「7」で、それ以来の6打点以上。今季7本塁打、17打点まで一気に引き上げた。藤川監督も「甲子園の方が喜ぶような1日になったかな。また火曜日から。相手も脅威に感じている打者でしょうから」と厚い信頼を寄せた。【柏原誠】