
<ライオンズ2-1ソフトバンク>◇18日◇ベルーナドーム
開幕4連敗でスタートした西武が、4月中旬のうちに勝率5割に戻した。
昨季は91敗。西口文也監督(52)や鳥越裕介ヘッドコーチ(53)が新たな風を吹き込ませ、“当たり前”のハードルを上げ、走攻守に徹底力が増しているのも“西武変身”の背景だ。
その姿は1軍だけではない。この日午後、室内練習場では3軍が練習していた。育成の是沢涼輔捕手(24)龍山暖捕手(18)が、昨季限りで現役引退した岡田雅利育成担当(35)のもと、二塁送球を徹底して仕込まれる。
岡田氏が二塁上にノックバットを立てた。「ここに送球を当てるまでね。後ろに証人、いるからね」。若手捕手2人、カメラを構える記者のほうを見て気合を入れる。
さぁ難題だ…と思いきや、鉄砲肩に定評があるドラフト6位の高卒ルーキー龍山がなんと、一発で命中させた。両手を挙げ「よっしゃ~!!」。1軍選手にも負けないような、とんでもない集中力を見せた。
とはいえ岡田氏もそれでは認めない。「今、バッター(が打席に立っているの)を意識してなかったやろ。ダメ、やり直し」。スローイング練習は続いた。
10球、20球…と続く。ノックバットをかすめるのが何球も。一方で数を重ねるごとに、二塁上から微妙にそれる送球も増えてくる。そのたびに岡田氏が「チャンスボール」と言いながら、ちょっとだけハードルを下げてみる。
是沢がやがて1球当てた。自分から「もう1球」と志願する。いつか1軍の舞台で輝くため、投げまくる。龍山には結局“2球目”は生まれなかったが、懸命に投げた。是沢は先輩の意地を見せ、もう1球当てた。
1軍だけじゃない。目先だけじゃない。西武は間違いなく変わろうとしている。【金子真仁】