
<オリックス2-1日本ハム>◇18日◇京セラドーム大阪
ピアノが得意な“リアル殿馬”が、ギリギリのプロ初安打を放った。日本ハムのドラフト5位、山県秀内野手(22)が、オリックス戦で初スタメン出場し、2回1死のプロ初打席で遊撃内野安打を放った。
相手は百戦錬磨のオリックス九里。カウント1-2から外角低めのチェンジアップに思わず手が出た。バットの先に当たり力のない打球だったが、一塁まで爆走すると、山県の細胞がリミッターを解放した。「いつもよりアドレナリンが出て、足が速くなりました」。遊撃紅林のワンバウンド送球との競争は、一瞬だけ早く一塁を駆け抜けた。
セーフの判定後、オリックスからリクエストの要求。「どっちかわからなかったので、本当にセーフになってくれと、ずっと願ってました」。思いは通じ、判定覆らずに安打成立。記念球を自ら回収した新庄監督が「何年後かに“リクエストでの初安打”って、トークできると思う」と話す、ドキドキの記念打だった。
8回にも左前打を放ち、複数安打をマーク。試合後は、新人全員で書いた鎌ケ谷のマスコット「カビー」がプリントされたTシャツを着込み「ルーキーみんなで描いたやつを集めたのをいただいたので」。ともにプロの荒波に踏み出した同期を代表し、まずは足跡を残した。「自信につながる。これからもっと多くのヒットを打てるように」。本家殿馬に負けじと小粋な安打を量産していく。【永野高輔】