
日本サッカー協会(JFA)は17日、都内で理事会を開き、メディア向けの説明会で、福島の「JFAメディカルセンター整形外科クリニック(JMC)」が行政措置を受けたことを明らかにした。同施設による患者及び保険者へ不正請求と不当請求があったという。
該当期間は21年5月から23年9月。実際には医師が診察を行っていないにもかかわらず、医師が診察を行ったものとして、再診料、運動器リハビリテーション料及び消炎鎮痛等処置に係る診療報酬を請求していた。また、機能訓練の開始時刻及び終了時刻を診療録等に記載していない、リハビリテーション総合実施計画書が定められた様式に準じていないなどの算定要件を持たさないリハビリテーションの診療報酬を請求していた事実も認められた。
不正請求及び不当請求の総額は数千万円になる見込みで、金額確定後、速やかに診療報酬の自主返納を実施する。
23年4月に近隣病院で無診療でのリハビリテーションが実施されていたことを理由に同病院が診療報酬を自主返還した報道を受けて、無診療リハビリテーションなどの実施を中止。同年11月に東北厚生局より個別指導実施の通知を受領した。
JFAとしては24年5月から元裁判官であり本件事案に関連する法令に通じた弁護士を含む外部法律事務所の弁護士協力の下、独自に本事案の事実認定と原因究明を行った。「医師や従業員が法令に関する知識を欠いていたこと、法令順守に対する意識が低かったことが本件の不正請求等につながった」と要因を特定した。患者数が増えるにつれて、待ち時間を少なくするために、医師の診療なく先にリハビリテーションをすることが増えていたという。リハビリテーション担当者らも、医師の診察が不要だという認識をしていた。
東北厚生局から個別指導がなされ、監査は24年5月28日から同年11月27日までに10回行われた。25年4月8日に当局より開国の通知を受けた。
JFAは「今回、患者様や保険者様をはじめ、多くの方々にご迷惑をおかけしたことを心から反省し、法令を順守したクリニックの運営を監督し、信頼回復に努めるとともに、今後も引き続き、スポーツ医学の発展と地域医療の充実に向けて取り組んでいきたいと考えております」とコメント。「改めまして、クリニックの開設者として、患者様やご家族、保険者様、全国のサッカー関係者の皆さま、パートナー企業の皆さまをはじめ、多くの方々にご心配とご迷惑をおかけしたことについて、深くおわび申し上げます」と謝罪した。【佐藤成】