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【潜入】阪神2軍がナイター直前イベントに選手を参加させた訳は…往復8時間の1泊2日高知遠征


阪神の2軍は四国IL高知との交流試合に臨み、1泊2日の遠征プランで試合前にイベントを実施し、交流を深めた。この試合は阪神が7-1で勝利し、投打に渡って活躍した。球団は新たに設けた「野球振興室」を通じて、NPB球団が本拠地を持たない地域での野球普及を目指している。試合前に選手が小学生や保護者と交流することで、野球の魅力を伝えつつ裾野を広げる取り組みを進めている。この活動には親子の参加が見られ、野球に対する心理的ハードルを低くする効果を狙った。四国IL高知の本拠地である球場では、かつての選手の名前が書かれたフラッグが飾られるなど、地域とのつながりも感じられた。

高知市在住の宮本さん親子と記念撮影を行う阪神の選手たち、左から熊谷、森木、松原、井坪、福島、山田(撮影・塚本光)

<2軍交流試合:四国IL高知1-7阪神>◇16日◇高知市営

阪神2軍が16日、四国IL高知との交流戦ビジターゲーム(日本トーター野球場)を戦った。ナインは往復8時間のバス移動で1泊2日の弾丸遠征を敢行。試合前にイベントにも出演する異例の流れで奮闘した。球団は1月に新たな部署「野球振興室」を新設し、野球振興への貢献を加速させている。今回も含めた独立リーグチーム本拠地ゲームの“裏テーマ”とは一体…。【取材・構成=塚本光】

   ◇   ◇   ◇

観客が試合開始に向けてワクワク感を高めていた午後5時5分。阪神の選手たちはプレーボール直前にもかかわらず、四国IL高知の選手たちとともに小学生や保護者らと交流していた。参加者は皆、笑顔。肌寒い天候の中でも心は温まっていた。高知出身の森木はほおを緩ませながら穏やかな表情で記念撮影、会話を続けた。「夢を与える職業。いいプレーで、夢を持たせてあげられるような選手になりたい」と力を込めた。

球団は1月に「野球振興室」を新設。昨季までも開催していた独立リーグ球団との交流戦の相手に、新たに四国IL高知を加えた。現地で試合やイベントを行う主な意図はもちろん、NPB球団の本拠地がない空白地域での野球の普及や競技人口の増加。より一層、野球振興に力を入れていく中、実は“裏テーマ”も存在する。同室の馬場哲也部長は「保護者の皆さんも巻き込むことです」と明かした。「保護者の方々が大体、『野球をやってみる?』とか方向性を示すじゃないですか」。対象を子供だけに絞らないことで、裾野を広げる狙いだ。

昨秋の安芸キャンプ中に四国IL高知と行った野球教室にも保護者が参加。その際に受け取ったアンケートの中には、子供が帰宅時の車中で「また野球やろう」と母親に伝えた、という回答があったという。ともに楽しむことで、道具にかかる費用や危険性などを心配する保護者の心理的なハードルを低くする作戦だ。

この日も選手と触れ合う「ミート&グリート」イベントには親子の姿があった。娘の夕暖(ゆの)さん(5)、鯉緒(りお)さん(3)と参加した宮本亜美さん(37)は「うれしかったです」と3人そろって満面の笑みを浮かべていた。

選手たちは午前9時に兵庫尼崎市の「ゼロカーボンベースボールパーク」を出発し、高知市営球場には午後1時ごろに到着。この1試合だけのために往復約8時間をかけ、1泊2日の弾丸遠征を敢行した。今日17日は午前9時に高知を出発し、帰阪後は練習を行う。

この過密スケジュールには首脳陣や選手たちの理解が必要不可欠。野球振興室長を兼ねる嶌村聡球団本部長が平田2軍監督に直談判したそうだ。嶌村本部長は「平田監督がよく理解してくれている。選手も理解している」と感謝。同監督も「苦にも何にもならない。地元の方たちと野球振興を進めることは我々のこれからの使命」と胸を張った。

嶌村本部長は21年4月に同職就任後では初めて独立リーグ球団との試合を現地訪問。試合前のイベント中はグラウンドに足を踏み入れ、目尻を細めながら様子を見守った。「競技者としてやってもらうのが一番いいですが、ライト層でもいいから野球の良さを感じて、ファンになってもらうところも両方大事」と力を込めた。

当日移動でナイター開催。それでも子供たちに参加してもらうため、通常は入念な準備などを行う試合前の時間を用いてイベントを行った。昨年6月の四国IL徳島戦に続き、阪神には利益が1円も入らない弾丸遠征の先には、大きな夢もある。高知でのNPB公式戦は1985年が最後。機運を盛り上げ、開催につなげていきたいところだ。

1軍の藤川監督も現役時代に在籍するなど、阪神と縁が深い四国IL高知との一戦は、同球団主催ではコロナ禍以降最多の1228人が来場した。虎が、野球振興の歩みをさらに加速させている。

○…阪神2軍は四国IL高知との交流試合に快勝した。投手陣は先発川原が3回無失点と好投するなど計5人で1失点。打線はコンスエグラが2打点、百崎が5回に左越えソロを決めるなど7得点。凱旋(がいせん)登板で1回1失点の森木は「もっと頑張ろうと初心に戻った」と前を向いた。四国IL高知出身の嶋村は春季キャンプの負傷離脱から復帰し、入団後初実戦で3打数無安打。森木と中学時代以来のバッテリーを結成し「楽しくできた。うれしかった」と喜んだ。

○…四国IL高知の本拠地では、同チーム出身の阪神石井のフルネームが書かれたフラッグが本塁後方に飾られていた。右腕は同球団のスポンサーを務めており、6日には冠試合も開催。広告を出すことで金銭援助などを行っている。武政重和球団社長は「すごく気にかけてくれているんだと思う」と感謝した。

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