
<日本ハム-西武>◇13日◇エスコンフィールド
西武の黒木優太投手(30)が“約束”をかなえた。
6点リードの7回に、この日3番手として登板。1失点後、2死三塁で日本ハム3番のレイエスと対峙(たいじ)した。
3月5日のオープン戦・日本ハム戦(エスコンフィールド)でのことだった。昨オフに日本ハムから戦力外通告を受け、背番号136の育成選手として西武と契約。アピールする立場としてかつての本拠地に戻ってきた。
そこでのリリーフ登板でレイエスの右手首付近に死球を当てた。レイエスはそのまま交代になった。
翌日の試合前。黒木はレイエスへ謝罪へ向かった。「いや、まじ、殴られてもいいやくらいの覚悟で行ったんですけど…」。
しかしレイエスは笑顔で迎えてくれた。
「全然気にすんな、次の対戦も楽しみにしてるよ」
そう言って、自身のSNSに2ショットをアップ。「彼はとてもナイスガイ」と仲むつまじい様子と、大事に至らなかったことをファンに報告した。
黒木はそのことにも「本当に感謝しています」と言い、一方で“次の対戦”のためにすべきことも明確に再認識した。背番号136のままでは、1軍公式戦への出場資格はない-。
努力と好投を続け、背番号54のユニホームを開幕直前に勝ち取った。そして迎えた、この日の再戦。ふうっとひと息はく。
3球連続でカーブを選び、ボール、ストライク、ボール。互いに真剣なまなざしだ。
4球目、捕手古賀がひざもとにミットを構える。投げきった。148キロ、空振り。カウントは2-2に。
最後は139キロ、カットボールでレイエスを空振りさせた。うんとうなずき、視線をかわさずにベンチへ戻る。黒木優太は約束を果たし、投げ勝った。【金子真仁】