
オリオールズ菅野智之投手(35)が5日(日本時間6日)、敵地でのロイヤルズ戦に先発しメジャー初勝利を挙げた。持ち前の制球力でストライクゾーンを自在に攻め、5回1/3を5安打1失点、2四死球4奪三振と好投。メジャーデビューから2戦目で初白星を挙げただけでなく、チームの連敗を3で止め、仲間からビールのシャワーでド派手に祝福を受けた。
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立ち上がりから落ち着いていた。先頭のインディアを2球で左飛に仕留めると、昨季首位打者の2番ウィットには6球目まで粘られながらもシンカーで右飛。3番パスクアンティノからはスプリットで空振り三振を奪った。持ち前の制球力で6つの球種を自在に操り、89球中で奪った空振りは10、見逃しストライク17。直球は最速91・7マイル(約148キロ)だったが、相手に強い打球を打たせなかった。デビュー戦となった3月30日の敵地でのブルージェイズ戦は4回を4安打2失点で手のけいれんで降板し、負け投手となったが「ストライクを先行するところを意識して投げた。前回は初戦で力みもあった。落ち着いて試合に入れたかなと思います」と、失敗を生かした。
気温7度の厳しい寒さの中での登板だった。6回、先頭ウィットに本塁打を浴びた唯一の失点は、その表に味方の攻撃が長くなり「あの寒さだと体が固まってしまって」という事情もあった。ハイド監督からは「彼らしい、制球の精度が高い投球だった。リラックスし、思い通りに投げていた」と称賛を受けた。
試合後はシャワー室で洗濯カートに乗せられ、同僚からビールのシャワーを浴びせられる派手な祝福を受けたという。「日本では優勝したときしか『ビールかけ』ってやらないけど、何か、本当に祝福してもらっているんだなという気持ちがして、さらにここで成功したいなという気持ちになりました」と大感激。同監督によると「選手たちみんな、彼のために勝利を喜び、興奮していた」。メジャーでの初勝利が、どれだけ大きいかを問われた菅野は「もちろん特別なことではありますけど、1勝するのを目標に僕は来ていない」ときっぱり。チームの優勝という大きな目標を見据え、表情を引き締めていた。