
<センバツ高校野球:聖光学院4-12浦和実>◇26日◇準々決勝
浦和実の真骨頂がセンバツ4強を呼び込んだ。
4-4の延長10回表タイブレーク。東北王者の聖光学院を相手に、つなぐ野球を貫いた。口火を切ったのは先頭の工藤だ。「スリーバントにはなりたくなかった」。カウント1-2から相手守備陣の隙を突き、三塁線へ鮮やかにセーフティーバントを成功させた。一塁めがけてヘッドスライディング。気迫あふれるプレーで仲間を鼓舞し「なんとか後ろにつなぎたかった」と無死満塁で後続に託した。
続く橋口は「狙い球をしっかり打てた」と手堅く中前へ決勝打。切れ目のない攻撃はさらに続き、これまで2試合快音がなかった中軸の野本が左前へ2点適時打でダメ押しだ。甲子園大会歴代で最多となる延長1イニング8点奪取につなげ「みんなが自分に回そうと行ってくれた中で、1本が出て良かったです」と安心の表情で語った。
投手陣を中心に堅守から流れを作るのが特徴だが、いい守備はいい攻撃に結びつく。4強に残ったチームの中では唯一、昨秋の公式戦から本塁打ゼロだが、気にも留めない。辻川正彦監督(59)は「強打者がいなくても点は取れる」と力説。大舞台でも信念を体現している。【平山連】
◆延長回の最多得点 浦和実が延長10回表に一挙8得点。延長イニングでは春夏の大会を通じ最多得点となった。これまでは22年春の和歌山東(対倉敷工)が延長11回に記録した7得点が最多。