
<センバツ高校野球:智弁和歌山6-0千葉黎明>◇21日◇1回戦
智弁和歌山のエース右腕渡辺颯人(はやと)投手(3年)がマダックス(100球未満の完封勝利)での公式戦初完封を達成し、春夏通じて4大会ぶり初戦突破を導いた。自己最速を1キロ更新する145キロの直球を中心に打たせて取り、わずか90球で試合を締めた。チームにセンバツでは6年ぶりの白星をもたらした。
「甲子園の借りは甲子園でしか返せない」
昨夏の甲子園での雪辱を果たした。「自分たちがミスをして(去年の)3年生を負けさせてしまった」。2年生ながら背番号1をつけ臨んだ霞ケ浦(茨城)との1回戦に中継ぎで登板。延長11回に決勝打を浴び、悔し涙を流した。「3年生の思いを背負って、甲子園で結果を出したかった」。
心身ともに成長を遂げ、再びエースナンバーを背負って待望の勝利をつかんだ。日本一を達成した21年夏の決勝以来、1300日ぶりに聖地に勝利の校歌を響かせた。甲子園がホームだった阪神などでプレーした中谷仁監督(45)は「久しぶりに校歌を聞く感じでした」と感慨深げだった。
2回戦は「ノーサイン野球」で千葉黎明を圧倒したエナジックスポーツとぶつかる。渡辺は「想定できないことをやってくる」と警戒しつつ「できることを、変わらずにやるだけ」と引き締めた。【中島麗】