
<センバツ高校野球:西日本短大付6-0大垣日大>◇20日◇1回戦
大垣日大(岐阜)が完封負けし、3年ぶりのセンバツ勝利はならなかった。春夏甲子園で40勝を挙げた阪口慶三前監督(80)から24年1月にチームを引き継いだ高橋正明監督(42)も、初陣1勝はならず。前監督のもとで長年副部長を務めた現監督は、甲子園のベンチから見た風景を「いい景色でした。子どもたちのプレーを近くで見られ、一緒に戦えるのは楽しかったです」と思い起こし、夏への挑戦への覚悟を固めた。
試合の序盤は大垣日大ペース。先発の背番号10、中野翔真(3年)が西日本短大付(福岡)打線を押さえ込み、3回まで完全投球。だが打線が2回り目に入った4回、相手打線につかまった。4安打を浴びて3失点。5回にも2点を失い、7回にはランニング本塁打で6点目を奪われてダメ押された。「1巡目はいつも通り抑えることができたんですけど、2巡目に相手のバッターに対応されて、先取点を取られてしまって、しっかりゲームを作れなかったのが反省です」と中野は悔やんだ。
攻撃陣は4度得点圏に走者を進めたが適時打は出ず、甲子園では17年夏の2回戦以来の完封負け。攻守を含め、高橋監督は「自分たちらしい野球はできたので。まずは夏に向けて今日からまたしっかり鍛えていきたいと思いますけど。何度来てもここで勝つということは難しいなとあらためて感じました」と振り返った。
「高校野球は教育」という信条のもと、部員に向き合う大ベテラン監督の姿を間近で見てきた。「技術の前にまず、人を育てる」という信念を受け継ぎ、実践。監督として臨む初めての甲子園に、前監督から「思いきってやってこい」と送り出された。初戦敗退で終わったが、最後まで西日本短大付に食らいついた粘りは収穫。「夢の舞台にもう1回立って、選手たちに勝った喜びを味わわせたいと思いました」と、次はその粘りを結果で実らせる。【堀まどか】