
<センバツ高校野球:西日本短大付6-0大垣日大>◇20日◇1回戦
日本ハム新庄監督の母校、西日本短大付(福岡)が初ものずくめでセンバツ初勝利を挙げた。3番斉藤大将(だいすけ)外野手(3年)が、今大会1号のランニング本塁打を放てば、先発の中野琉碧(るい)投手(3年)が今大会完封一番乗りを決めた。東洋大姫路(兵庫)は21世紀枠の壱岐(長崎)に7-2で逆転勝ちし、岡田龍生監督(63)が母校で初勝利を挙げた。山梨学院は5-1で天理(奈良)を破った。
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斉藤に迷いはなかった。1度もスピードを緩めず、50メートル6秒0の快足を飛ばす。甲子園のダイヤモンドをさっそうと駆け抜けた。
「まさか、大会第1号を打てるとは…」
5点リードの7回先頭だ。カウント1-1からの3球目、外角の緩いカーブを流し打ち。左中間への飛球に「レフトフライかなと」。相手の左翼手も落下地点に入っていたが、まさかの落球。さらに、処理をもたつき「ジャックルしているのが見えた」。一瞬の隙を逃さず、一気に三塁ベースも蹴った。最後はホームへスライディングで突入。記録はランニング本塁打で、記念すべき今大会第1号となった。4回は1死二塁から先制の中前適時打をマーク。2安打2打点の活躍で、出場2度目の同校にセンバツ初勝利をもたらした。
あの「ビッグボス」からもお墨付きをもらっていた。16強入りした昨夏の甲子園にも背番号9で出場。同校OBの日本ハム新庄監督が現地観戦した試合で、右翼守備で好返球を披露した。一連のプレーを新庄監督が大絶賛。斉藤も新庄大先輩を目標にしており「肩が強くて。自分もあれぐらい投げられる外野手になりたい」と背中を追っている。
西村慎太郎監督(53)は新庄監督と元チームメートで同学年。プロ、アマの違いはあるが、同じ指揮官として刺激をもらっている。「彼は気配り、心配り、目配りはかなりできる指導者じゃないかなと思います。1つだけマネをしたいなと思うのは、とにかく選手を観察していること」と明かす。今大会のメンバー20人は選手間投票で決めた。1~20の背番号を選手同士で記入させるなど、新庄監督と同様に選手の意思を大事にしている。
今大会の9回完封一番乗りを決めたエース中野がナインの思いを代弁した。「(新庄監督に)また見に来てほしい。忙しいと思うので、来られるところまで勝ち続けたいです」。大スターの来場を夢見て、まだまだ勝ち上がる。【佐藤究】
◆大会1号 西日本短大付・斉藤のランニング本塁打が大会1号。昨春に飛ばない新基準バットが採用された後、センバツの本塁打は通算40試合でまだ4本(2本はランニング)。
◆西日本短大付の完封 中野が今大会初の完封勝利投手。春夏を通じ同校の投手が1人で完封したのは、92年夏優勝投手の森尾和貴(元新日鉄八幡=4完封)以来。