
待望の“下克上グルメ”がベールを脱ぐ。楽天藤井聖投手(28)のプロデュースメニューが一気に3種類登場する。昨季は自己最多11勝を挙げたが、23年までのプロ3年で通算4勝。グルメ販売を熱望しながら“却下”された過去を乗り越え、ついに念願かなった。「一石四鳥まちゃるの抹茶シェイク(720円=Patisserie46、肉飯とやま)」「藤井聖の一石三鳥バーガー丼(1580円=肉飯とやま)」「藤井聖のイベリコ豚のWチーズスタミナ丼(1200円=牛たん炭焼利久キッチンカー)」が、今季から楽天モバイルパークで販売される。
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藤井が“苦い記憶”とおさらばした。5年目で初めてプロデュースメニューが販売されることが決定。昨季自己最多&チームトップタイの11勝を挙げた勝ち頭らしく、一気に3種類が登場する。「待ち望んでいた最高の形になったんで、素直にうれしく思ってます」と笑みがあふれた。
名前の「まさる(愛称=まちゃる)」と抹茶をかけた「一石四鳥まちゃるの抹茶シェイク」の商品化は悲願だった。「ふざけて、それ面白いんじゃないかっていう話をしてて」。かねてグルメ担当のスタッフに提案していたが「しっかり却下されて(笑い)」と涙をのんだ過去がある。
さらに後継者指名の絶好機も逃した。チョコシェイクをプロデュースしていた松井裕樹が23年オフにパドレスに移籍。松井は商品をチームメートに引き継ぐ意向を示し、藤井も後釜を狙っていたというが、渡辺翔太がチョコ味を引き継ぐことが決まった。
失意から立ち直った藤井は回想する。「松井裕樹の空いた穴は僕しかいない、松井裕樹の一番弟子は僕しかいないでしょってところで却下されて(笑い)」。だが、巡り巡って抹茶シェイク誕生につながった。
待望のシェイクは苦みを抑えた優しい味わいに仕上がっている。「ファンの方がね、待ちに待った抹茶。素晴らしいと思います」。そんな藤井の思いに応えるように、たっぷりクリーム、抹茶ソース、あられと他のシェイクよりも豪華トッピングとなっている。
「一石三鳥バーガー丼」は食べ応え、インパクトともに十分の商品だ。大好物のハンバーガーがコンソメ味のご飯の上に乗った斬新な丼物。「これがまたおいしいんですよ。ボリューミーなんですけど、食べ物を何個か買いに行くのって大変じゃないですか。1個のものをガツンと食べて応援していただけたら」。それだけで満腹感が得られるのもおすすめポイント。「グルメチームの努力の結晶です」。型破りな新グルメにドヤ顔でうなずいた。
最後に「イベリコ豚のWチーズスタミナ丼」は母校東洋大の食堂名物グルメをイメージした一品だ。「僕の舌が覚えてるので、研究に研究を重ねて再現しました。チーズが大好きな人は多いと思うんですが、意外とこういうチーズのメニューが球場に少ない中でのチーズスタミナ丼。完璧です」と自信満々に紹介した。
先発ローテーションを支える存在に成長し、ついにプロデュースメニューの話が舞い込んだ。「しょうがないですよね。グルメはやっぱ商売なんで。人気ない選手はできないじゃないですか。そこはしっかり重く受け止めての去年の1年間でした」。23年までのプロ3年で通算4勝も、昨季は11勝とブレーク。主力の仲間入りを果たした。
やっとの思いで商品化のチャンスをつかんだだけに、喜びもひとしおだ。「グルメチームの方と私が力を合わせて研究に研究を重ねた末にできた傑作なんで、球場に足を運んでいただいて、いざ食してください」。熱い思いが詰まった“下克上グルメ”で、ファンの心をわしづかみにする。【山田愛斗】