
伝統を受け継ぐ思いを白球に込めた。
センバツに出場する早実(東京)が9日、今年初の練習試合を同校グラウンドで行い、東京都市大塩尻(長野)に10安打5得点で勝利した。
エースで主将の中村心大(こうだい)投手(3年)は「3番投手」で先発。初回、先頭に四球を許し、盗塁と犠打で1死三塁とされ、右前適時打を浴び1失点。「いいところがなかった」と振り返るも、どんな状態でもチームを勝たせるのが「伝統校のエース」。高めの真っすぐなどで空振りを奪い、後続を凡打で仕留めた。2回を1安打1失点にまとめ、後ろにつなげた。
一番の収穫はマウンドに立てたことだ。昨秋の大会後、左肩を痛め本格的に投球を始めたのは2月中旬。今月はテストに関係各所へ表敬訪問、6日の抽選会と多忙な日々を送る。和泉実監督(63)も「あまり練習ができていない。これから上げていくでしょう」と、エースへの信頼は高い。中村も「約2週間で出力を上げていく」と焦りはない。
初戦は大会5日目(22日)第1試合で高松商(香川)との対戦が決まった。同校とは1924年第1回大会決勝、翌年夏の大会決勝でも対戦。「伝統を受け継いでいかなければ。対戦できることを意気に感じ、全力で楽しみたい」と中村。胸を躍らせながら調整を続けていく。【保坂淑子】