
第97回選抜高校野球大会が、3月18日に甲子園球場で開幕する。日刊スポーツ高校野球取材班が注目する、全国の有望選手を紹介する。
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【花巻東(岩手) 古城大翔(ふるき・だいと)内野手(2年)182センチ、90キロ、右投げ右打ち】
何十倍も大きくなった右の大砲が、涙を拭った聖地に帰ってくる。「(本塁打は)狙いたいですけど、個人の結果を求めすぎず、チームの勝利にこだわりたい」とリベンジのピースになることを誓った。
忘れられない敗戦が、一番の原動力だ。期待のスラッガーとして、1年春から大谷翔平ら名だたる先輩らも背負った出世番号「17」を背負い4番に座った。昨夏の甲子園では、初戦の滋賀学園戦で敗退。4打数2安打も、自らの走塁で好機を逃した。「野球していて、あれだけ悔しかった思いはない。あの時の敗戦は今でも忘れていない」と胸に刻む。
秋冬は求められる長打力に磨きをかけるべく、最速128キロのスイングスピード向上に励み、ウエートトレーニングでフィジカルも鍛えた。内気な性格も、父の巨人・古城茂幸1軍内野守備走塁コーチ(49)から「勝ちを目指すなら、口に出さなきゃいけない」と助言を受け、積極的にチーム力向上のための発言ができるようになった。「(下級生だけど)自分が引っ張っていくことの自覚も芽生えた」と成長した。
「(甲子園は)目標の場所。夏春連続でプレーできるのは本当にうれしい。チーム一丸で切磋琢磨(せっさたくま)して挑みたい」。再び踏む聖地で、快音を響かせ勝利をたぐり寄せる。