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【センバツ】花巻東・森下祐帆、山林火災被害の故郷へ思い「一生懸命にプレーする姿見てほしい」


花巻東高校の森下祐帆選手は、第97回選抜高校野球大会に特別な思いで臨んでいます。彼の故郷である岩手・大船渡市では、大規模な山林火災が発生し、祖父母の家が全焼し、実家も大きな被害を受けました。森下選手は「単に出場するだけでなく、勝つことを目標にしています」とし、故郷への恩返しとして全力を注ぐ決意を表明しました。彼は太成学院大高との練習試合で好調なパフォーマンスを見せ、甲子園での活躍を期しています。山林火災では、市の面積の9%が焼失し、避難指示が出されています。

花巻東の森下(撮影・平山連)

第97回選抜高校野球大会(18日開幕、甲子園)の組み合わせ抽選会が7日、大阪市内で行われる。今大会に並々ならぬ思いで臨んでいるのが、花巻東(岩手)の森下祐帆内野手(3年)だ。故郷の岩手・大船渡市で続く大規模な山林火災により、祖父母の家は全焼、隣接する実家も大きな被害を受けた。野球ができるありがたみを感じながら、昨夏に続く甲子園の舞台に挑む。

   ◇   ◇   ◇

大規模火災の被害に悩まされる故郷へ、勝利を届ける。森下が強いまなざしで一点を見つめながら、言葉に力を込めた。「去年の夏は1回戦で負けて、自分もチームも何もできませんでした。今回は出るだけじゃなくて、勝つことが目標です。一生懸命にプレーする姿を大船渡の人たちにも見てほしい」と訴えた。

今なお続く自然の猛威は、沿岸部で暮らす家族にも影響を与えた。父方の祖父母が住む2階建ての自宅は全焼。道路を挟んで向かいにある実家にも延焼し、ガラスが割れ、壁が崩れるなど被害に見舞われた。家族にけがはなかったが「最初に電話で父から聞いた時は理解が追いつかなくて、何も考えられなかった」としばらく放心状態。その日の練習はなかなか手が付かなかった。

東日本大震災発生当時はまだ3歳と幼く、津波にのまれた地元の様子は覚えていなかった。17歳で迎えた今回は違う。「野球ができることが当たり前じゃない」と胸に刻み、「両親も求めているのは自分が元気にプレーすること」と思いを新たにした。

この日は太成学院大高(大阪)との練習試合に「2番遊撃」でフル出場し、4打数3安打2打点の猛打賞。徐々に調子を上げ「タイミングの取り方が良くなって、変化球もうまく対応できてヒットが打てました」と好感触を得た。自身としては昨夏に続く甲子園。50メートル走6秒フラットの俊足を生かして、ダイヤモンドを駆け抜ける。それが大船渡への恩返しになる。【平山連】

◆大船渡の山林火災 2月26日に岩手・大船渡市で発生した大規模火災。最新の焼失面積は、市の面積の9%に当たる約2900ヘクタールに上る。住宅や作業場など計78棟が焼失し、1896世帯4596人に対する避難指示が続いている。市によると、6日午前11時時点で避難所に1240人、親戚宅などに3058人が身を寄せている。

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