思い描くのは最高の舞台でのホームラン。DeNA度会隆輝外野手(22)が13日、神奈川・川崎市内にある古巣ENEOSのグラウンドで自主トレを公開した。屋外のフリー打撃では日本シリーズ最終戦を想定し、最後の1球で逆方向の左中間に1発をかっ飛ばした。体重と筋肉量も増加し、長打力アップに手応えを示した。ルーキーイヤーに鮮烈デビューも、終盤は思うような活躍ができなかった。2年目は「3割30本」を目標に、真価を発揮する。
◇ ◇ ◇
柵越えを確信して思わず走り出した。度会が口に出しながら究極の場面を思い描いた。「横浜スタジアム、バッター度会。ここで決めたら日本シリーズ連覇」。打ち損じても終わり、と決めたフリー打撃最後の1球。キレのあるスイングで左中間席まで運んだ。「きたぞー!」と叫びながらマウンドに駆け出し、手伝いで打撃投手を務めた地元の友人と抱き合った。報道陣1人1人とも歓喜のグータッチ。約10カ月後の最高の景色をイメージした。
大舞台への思いが自然とにじみ出た。ルーキーイヤーの昨季はセ界初の新人での開幕から2戦連発と鮮烈デビューも、好調を持続できなかった。「1年間ずっと、143試合を戦う経験がなくて難しさもありました」と疲労から体重も減り、パワーもスイングのキレも理想とは程遠かった。出場は75試合にとどまった。日本シリーズは40人枠入りも、1軍には1度も呼ばれず、26年ぶりの日本一を心から味わえなかった。
2年目の今年こそは。最大のテーマにフィジカル強化を掲げた。昨季中は75キロまで落ちた時期もあった体重は、85キロまでアップ。ウエートトレーニングを強化して筋肉量も増加し「体が目に見えて大きくなってますし、打球の質も変わりました。これが入るんだ、という打球もどんどん入るようになってます」とうなずいた。この日も逆方向や、体勢を崩しながらでも柵越えを連発。狙い通り長打力アップに成功した。
外野陣は筒香、桑原、佐野、神里、関根、蝦名、梶原らと激しいポジション争いが待ち受ける。アピールする道として「3割30本」を掲げる。「(外野の)先輩方はものすごい方が多い。見て学ぶものも多いですし、絶対に負けないように頑張るぞという気持ちはあります」と闘志を燃やした。日本シリーズ連覇を決める一打を-。歓喜の準備を進める。【小早川宗一郎】