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【巨人】岡本和真の原点「おかわり塾」師匠と過ごし決意新た「僕はここで中村さんに会ってから」


巨人の岡本和真選手が、腰椎分離症のリハビリ中にもかかわらず、「おかわり塾」として知られる西武中村剛也との合同自主トレに参加しました。これは、岡本選手がスラッガーとしての道を開くきっかけとなった中村との8年にわたる共同トレーニングの一環です。岡本選手は中村選手との練習を「原点」と表現し、自身の野球人生にとって特別な意味を持つこの時間を大事にしていると語りました。今年の合同自主トレには広島末包、西武渡部健も参加し、皆が中村のアドバイスを受けながら技術向上を図っています。2023年は投手のレベルが非常に高く、スラッガーたちにとっては困難なシーズンでしたが、岡本選手は「狙った球を打つ」基本に立ち返り、来季への意気込みを新たにしています。

練習を終え笑顔をみせる、左から広島末包、巨人岡本和、西武中村剛、渡部健(撮影・横山健太)

巨人岡本和真内野手(28)が「原点」に立ち返った。第五腰椎分離症でバットが振れなくても、西武中村剛也内野手(41)との8年連続となる合同自主トレを志願。17年オフにスタートし、毎年恒例になった「おかわり塾」。3年目の0本塁打から翌年の30本塁打と才能開花のきっかけをくれた師匠との時間を過ごし、決意を新たにした。【取材・構成=久保賢吾、金子真仁、上田悠太】

   ◇   ◇   ◇

シンプルなツッコミから8年目の「おかわり塾」は始まった。グラウンド入り口で、岡本和が師匠を出迎えた。中村剛からは「何しにきたんや(笑い)」と第一声。というのも、岡本和は左第五腰椎分離症のリハビリの最中だった。ただバットを振れなくても、どうしても参加したい理由があった。「ここは僕にとっての原点なので」。中村剛と過ごせる時間を楽しみにスケジュールを調整した。

外野の芝を軽めにランニングし、すぐに中村剛はバットを握った。スパイクを履かずとも、置きティーのボールを中堅後方まで軽々と飛ばし、「来年はいけそうだわ」と笑い飛ばした。例年12月上旬の合同練習時は、まだバットを振っていないことも多いが、今年は早めの始動でキレがいい。あと22本に迫る大目標の通算500本塁打に向けて充実のオフを過ごしている。

その姿を見ていた岡本和がブレークのきっかけとなった“原点”の記憶を思い返す。「僕はここで中村さんに会ってからですから」。2人の最初の合同練習は7年前の17年オフだった。右足に体重を残すコツ、感覚を伝授され、翌年の3割、30本、100打点の飛躍につなげた。

球団の垣根を越えて、つながるアーチストの師弟関係がある。ともに関西人で時に本気なのか冗談なのか、分からないトーンでトークを繰り広げる。

中村剛 通算は478本で、(本塁打王の)タイトルは6回しか取ってないから(笑い)。もう、岡本さんの方がすごいですよ。

球史に残るスラッガーにしか言えない強烈なワードに、弟子がほおを緩めた。

岡本和 いやいや…。僕は中村さんに会えるだけで…。

通算233本塁打を積み上げ、本塁打王を3度獲得した。球界を代表するスラッガーに進化したが、今回練習に参加した広島末包、西武渡部健に師匠が助言する様子を横目で見ながら、しっかりと耳を傾け、来季へのヒントを探った。

透き通る水色の空の下、冷たい風が吹き抜けた。スラッガーにとって、今は冬の時代だ。今季30本塁打を超えたのは、球界でもソフトバンク山川(34本塁打)とヤクルト村上(33本塁打)の2人だけ。投高打低の傾向が強い。

中村剛 ピッチャーのレベルがエグすぎる。特にこの2年ぐらいかな。自分たちが勝っている時、相手からすれば負けている時に出てくる投手も(レベルが)高い。先発、抑えとの差が大きく変わらないよね。

岡本和 セ・リーグだったら、中日の高橋宏斗がすごいですよ。特に勝負どころでいいコースに決めてきます。

中村剛 今年、一番すごいなと思った投手で言えば、ヘルナンデス(ソフトバンク)。変則的なフォームから、ほんまにエグい球だった。

投高の時代にどう立ち向かうか。根本的な部分は変わらない。

岡本和 もちろん技術アップはしないといけないですけど、自分たちの考え方は変わらない。狙った球をはじけるか、はじけないか。打てるか、打てないか。結局、考え方は毎年一緒です。

中村剛 最後は、気合と根性やね。

来季はそれぞれ24年目と11年目。おのおののスタイルで来季を見据える。

中村剛 目標? 決めてないかな。とりあえず健康で。

岡本和 日本一。僕自身、まだ日本一の経験はないですし。個人としてはケガしないよう1年間、試合に出られるように。

互いに通じ合う、心地よい時を過ごし、来季の力へと変えた。

○…広島末包が「おかわり塾」に初参加した。同学年の岡本和と親しかった縁で、西武渡部健も含めた体重100キロ超カルテットの共演が実現した。「本塁打を打つ上で一番大事なことは」と中村剛に質問。角度と芯で捉えることが大事と説かれ、ベースから離れて打席に立つことをすすめられた。末包の長いリーチを生かすアドバイスで、今後の引き出しとした。

<これまでのおかわり塾VTR>

◆17年 中村剛が岡本和に体重を右足に残すコツを伝授。また、本塁打量産の心構えに「適当論」を説いた。「片仮名で『テキトー』は雑に感じるが、漢字なら適する当たり。考えすぎもよくない」

◆18年 中村剛が岡本和に、左脇を開けるフォロースルーの意識を伝授。

◆19年 中村剛が岡本和の左方向の打球がフックしていることに注目し助言。「インパクトの後、もう少し手首を返さないように意識してみたら」

◆20年 岡本和に高めの打ち方を質問された中村剛は、小さなステップで距離を取り、コンパクトに振り抜く打ち方を伝授。

◆21年 中村剛と岡本和が初参加した西武渡部健に惜しみなく助言。右膝が折れるタイミングやバットのグリップ位置を徹底指導。

◆22年 40発の壁に苦しむ岡本和へ、中村剛は「1カード1発」で48発ペースの意識を伝えた。

◆23年 初の40発をクリアした岡本和に、中村剛も「もう技術的に言うことはない」と、さらなる飛躍に太鼓判を押した。

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