阪神西勇輝投手(34)が17年目にかける強い覚悟を示した。20日、兵庫・西宮市の球団事務所で契約交渉に臨み、4年契約3年目は現状維持の3億円でサイン。藤川球児新監督(44)が就任会見で「力がないベテランは必要ない」と言ったことを受け「この年齢でできなかったら引退するのは当たり前」と堂々回答した。チーム最年長が“力のあるベテラン”を結果で示し、王座奪還に全力を尽くす。
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西勇は当たり前と言わんばかりに、力強く言い切った。「この年齢でできなかったら、引退するのは当たり前やし、だからそうならないように今までやってきた。自分は普通にやって、結果出して、来年またこの契約に臨むだけ」。来年35歳を迎えるチーム最年長の覚悟と自負。いつになく、その口調は熱かった。
10月中旬の藤川新監督の就任会見。指揮官はベテラン陣の存在感を必要とした一方で「力が必要なのは間違いない。力がないベテランというのは必要ない」と厳しく言い切った。この発言を振られた西勇もきっぱり言った。「阪神だけじゃない。年齢重ねて、どう見ても邪魔だろうなと思われたら引退するだろうし、クビだろうし、それはプロ野球選手やっていたら絶対に分かること」。積み重ねてきた16年のキャリアがよどみない答えを導き出した。
11年から124回2/3を投げた今年まで、14年連続で100イニング以上に登板。今季も先発ローテーションを守り、21試合の先発で6勝7敗、防御率2・24。4月中旬から9月上旬まで防御率1点台をキープする安定感を見せた。「監督が言うたから、初めて聞いたからビビって練習せなアカンというのは、本当にないです。この年齢まで、高卒がやってきたという自負があるし、ローテーションを守れてきた自負もある」。その信念にブレはない。
今オフ巨人からメジャー移籍を目指す菅野は、19年まで4年連続ハワイ自主トレをともにしてきた1学年上の先輩。自己ワースト4勝だった昨季から、35歳の今季は15勝の復活劇を遂げた。「マイナスなことを言われてもブレない心。格好いいですよね。結果で示すという。そういう姿を見てると思います。だからあの年齢でも挑戦する姿はすごく格好よく映ります」。来季同じ35歳シーズンで、この先も目指す背中がある。
「教えてもらった師匠」のように、来季も必ずチームの力になる。そのバックボーンとして、戦う心が大事と強調した。「向上心と闘争心が消えたらプロ野球は無理ですからね。なぜ練習するんだって、戦いに行くんですから。そこで自分の心を折らず、全うしていきたい」。熱い姿勢でチームを引っ張り、結果で“力のあるベテラン”を示す。勝負の17年目シーズン、あとはやるだけだ。【磯綾乃】