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高梨、どん底から頂点へ=取り戻した「楽しさ」―W杯ジャンプ女子


 どん底から頂点へ。苦しみもがいた高梨が鮮やかに飛躍した。「自分でもびっくり。勝てると思っていなかったし、五輪の後から練習もしていなかったので」。かつて立ち慣れた表彰台の真ん中で、マスク越しでも分かるほどの笑顔がはじけた。  北京五輪の混合団体で、1回目にスーツの規定違反で失格に。仲間の奮闘で日本は4位となったが、自責の念に駆られた。「なかなかトレーニングすることもできず、自分の部屋から行動範囲を広げられずにいた。前を向けない、前進できない時間が長く続いていた」。前週のW杯出場は辞退し、今大会も当日朝まで出場するか迷ったという。  それでも出ると決めた理由は、五輪後に届いた無数の励まし、応援のメッセージだった。「温かい言葉ばかりだった。こんなにもたくさんの方々に支えられてきたんだなと思うと、ここでやめるわけにはいかない」。そんな思いで臨んだ復帰戦。練習を含め6本もの飛躍に挑んだこの日、高梨が繰り返したのは「久しぶりに飛べて、純粋に楽しい」との言葉だった。  選手が競技を楽しむ姿は見る人に伝わる。そう言われた高梨は「諦める、やめることで責任が取れると思っていたけど、それは勘違いだったかも」と返した。この日思い出した「楽しさ」を胸に、これからも見る者の心を揺さぶる飛躍を見せてほしい。(リレハンメル時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕今季2勝目を挙げ、表彰台に立つ高梨沙羅(中央)=2日、ノルウェー・リレハンメル(AFP時事)
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