突然の怪我や急病での入院によって、高齢者の身体の衰えが加速する事は珍しくありません。
骨折をきっかけに、患部がよくなっても筋力の低下によってリハビリをしても歩行が出来なくなってしまったり、入院生活による生活環境の変化によって僅かだった認知症の症状が顕著になる事もあります。
そのような状態で退院を向かえ、入院前のような生活を送るというのは少々難しいでしょう。
今回は退院までの間に、家族が今後の生活のために出来る事を見て行きたいと思います。
退院後の介護環境の整備
在宅介護の場合、家具の入れ替えや家の軽度な改修が必要になる場合もあります。
入院中に介護認定を受け、介護保険を利用して自己負担をなるべく抑えて行うのがお勧めです。
寝たきりになってしまうのであれば、介護ベッドを拠点とした、本人の過ごし易い環境・介護する側の介護し易い環境を作るのが大切です。
実際に退院をし、介護が必要となる生活を始めてみないと何が必要かわからない事もあります。
ですので、始めに導入する福祉用具等はケアマネやレンタル業者とよく相談をし、必要不可欠な物から設置すると良いでしょう。
認知症が進行している場合、処方されている薬の管理にも気をつけましょう。
これを期に、家族が薬を預かり、飲むべきタイミングで都度渡すと飲み忘れや誤飲を防ぐ事も出来ます。
利用したい介護サービスの手配
常時家族が介護をすることが困難な場合、介護保険を利用し介護サービスを受ける準備をしておきましょう。
ケアマネージャーと相談をし、ホームヘルパーや通所介護サービスなど、本人と家族の負担をなるべく減らせるものを選ぶ事が大切です。
通院などが困難な場合は、移送サービス等も利用する事ができますので、どのくらいの頻度で必要なのかを確認しておくと良いでしょう。
独居の方で食事の準備が難しい場合などは、高齢者向けの配食サービス等もあります。
市町村で実施している場合もありますし、配食業者に発注をする場合もありますので、担当のケアマネージャーに確認をし、様々なサービスを組み合わせて金銭的な負担を抑えつつ毎日しっかりと食事を摂れるようにしておきましょう。
介護施設への入居申し込みの検討
退院までの間に今後自宅での介護が難しいと判断した場合は、介護施設へ入居を検討する方も多いと思います。
しかし、退院のタイミングに合わせて即入居可能な施設は中々見つからないと思います。
事前に入居の申し込みをし、順番待ちの間は自宅で介護、というかたも多いです。
本人の意志や、家族や親族の意見をしっかりと聞き、今後どこで生活するのが最良なのかを話し合っておく必要があります。
施設と言っても、共同生活型のものから老人保健施設まで様々ですので、本人の身体状況や病状を見たうえでケアマネとじっくり施設選びをすると良いでしょう。
複数の施設に同時に申し込み、入居の順番が早くまわってきたところに入るようにする方もいらっしゃいます。
その際は、申し込む施設へ「他の施設へも申し込みをしています」と伝え、入居が決まった場合は申し込みの取り下げも忘れずに行いましょう。
まとめ
退院後に在宅介護をすると決めても、実際に介護をしていくと大変なものです。
介護される側も介護する側も疲れきってしまい、今まで良好な関係だったものが破綻し、最低限の介護も難しくなる事も少なくありません。
通所介護やショートステイなどを上手に使い、介護する側も気分転換や休息が必要になります。介護する家族が全て背負い込んでしまっては共倒れの危険性が高まります。
利用できるサービスはこまめに利用し、お互いに生活しやすい環境をつくって行くことが大切です。(執筆者:佐々木 政子)