高齢者の定義を見直し
日本老年学会と日本老年医学会は、現在は「65歳以上」とされている高齢者の定義を「75歳以上」に見直すよう提言しました。
病気や運動機能のデータを分析すると、この10年で身体機能や知的能力が5~10歳も若返っているそうです。
うれしい事ですね。
厚生労働省の患者調査によると、65歳以上で脳卒中などの治療を受ける人の割合は、以前より低下傾向にあります。
医学の進歩や、健康に関する意識の向上や実践の現れだと感じます。
内閣府が60歳以上を対象に行った2014年の調査では、高齢者と思う年齢は「70歳以上」と「75歳以上」がともに3割以上を占める一方で、「65歳以上」と答える人は6.4%にとどまっています。
高齢者の定義とは?
そもそも何をもって高齢者というのかは明確ではありません。
世界保健機構(WHO)によると、多くの先進国で高齢者の定義は60歳から65歳で、WHOが定義する高齢者の区分も65歳となっています。
学会は65歳~74歳を「准高齢者」として「社会を支える人たち」と捉え直すよう求めます。
厚生労働省による、介護を受けたり寝たきりになったりせずに自立して生活できる「健康寿命」は、平成25年は男性が約72歳、女性が約78歳です。
高齢者を「75歳以上」と定義しようとするのもうなずけます。
高齢者の年齢の定義と、年金などを含めた社会保障制度とが安易に結びつくことには心配がありますが、長い人生を生き抜かなければならない時代にすでに入っているのは事実です。
経済への影響はどうでしょうか?
総務省平成26年度調査によると、全世帯総所得平均は528.9万円、高齢者世帯所得平均は300.5万円となっています。
貯蓄額は全世帯平均が1,798万円、65歳以上平均は2,499万円となっています。
高齢者世帯では、平均貯蓄額は多いが年間所得が少ないために貯蓄を消費に回さず節約して生活しています。
この提言が実施され65歳から74歳までの世代が「准高齢者」となり、社会の支え手となれば、現役世代の負担減少、労働人口減少の解決の糸口となり、明るい将来の兆しがみ見えてくるのではないでしょうか。(執筆者:藤原 洋子)