年末調整や確定申告は、なんだかよくわからないし、面倒くさい、と感じている人が多いようです。筆者も「かなり面倒だと思っている派」なので気持ちはよーくわかります。
ですが、申告をするメリットを考えると使わない手はありません。
そこで、今回はなんで年末調整や確定申告をしたほうがいいのか、という点でお話しします。
そもそも、年末調整や確定申告はなにをするの?
源泉徴収
会社員の場合は、毎月の給与から税金が天引きされています。これを「源泉徴収」といいます。
会社員が支払っている税金は、「総所得金額」に税率がかかったもの。上記の図ように、「所得控除」や「税額控除」は計算に入っていません。
年末調整
会社員のような給与所得者が申告できる制度で、「所得控除」「税額控除」を計算し、最終的な「納付税額」を決定させるために行います。
確定申告
会社員だけでなく自営業者やフリーランスなどすべての人が行える申告です。収入が複数の支払い先からある場合などは、収入を確定し、控除できるものを申告することで、正確な「納付税額」の計算を行います。
「納付税額」を算出した結果
会社員の場合は税金を支払いすぎているケースが多いので、還付金がもどってくるという仕組みです。
税金が安くなるメリットってなにがあるの?
還付金が戻るといっても、年末調整や確定申告をするのは、ちょっと面倒くさいと感じる方は多いのではないでしょうか。
そこで、「納付税額」が安くなると、還付金以外にどのようなメリットがあるのかをみてみましょう。
翌年の住民税が安くなり、手取り収入が増える
住民税を支払いが翌年の6月からスタートするため、翌年の住民税が安くなります。つまり、2016年の収入から算出された住民税は、2017年の6月から支払うということ。
住民税が安くなると、会社員は給与から天引きされる住民税が少なくなるので、手取り収入が増えるというわけです。いっぽう、個人事業主やフリーランスの人は、住民税の請求額が少なくなります。
保育園料が安くなる
保育園料にも影響があります。いわゆる「公立」といわれる認可保育園の保育料は、住民税の内訳にある「市民税」や「区民税」を基準に算定されています。
つまり、住民税が安くなると保育料の負担額が変わります。
各種補助金の受給額が変わる
住民税が安くなることで、各種学校教育の補助金額が変わります。
「保護者負担減額補助金」 認可外保育園
「就学奨励金」 公立小、中学校
「高等学校等就学支援金」 国公私立の高等学校
2017年度からは上記に加え私立小中学校の授業料を補助する方針です。
住民税の金額によっては、ほかにも自治体が主体となる補助金の対象になったり、補助金の金額が増減します。
このように税金が安くなると、還付金を受け取れる以外のメリットが出てきます。
不足分の追徴があることも
会社員が年末調整や確定申告を行ったときに、還付金を受け取るのではなく、不足分の税金を追徴されるケースがあります。
徴収の理由
賞与が期首に予想していた額より多すぎた場合
徴収していた税額では足りなくなってしまいます。
扶養家族が減った場合
「扶養控除」がなくなり、税金の再計算をすると不足分が出ることも。
モヤモヤしますが…払っておきましょう
そのような場合、たいていの会社員は12月の賞与か給与で差し引かれます。
なんだか納得いかない気持ちになるかもしれませんが、本来支払うべき税額なので支払っておきましょう。もしも、年末調整の時点で不足分がわからなかった場合、翌年に持ち越されて支払うことになります。
しまった! 年末調整を忘れていた!
年末調整をしなかった、年末調整をしたけど大掃除で保険料控除の証明書を見つけた、なんて方はがっかりしなくても大丈夫。確定申告を行いましょう。
2016年度の確定申告
2017年2月15日~3月15日までです。しかし還付金の確定申告はそれより前でも受け付けてくれます。また、還付申請は確定申告の時期を過ぎても問題ありません。5年以内に申請しましょう。
おわりに
年末調整や確定申告は本来支払うべき税額を確定させるために行います。税額を確定させないと損をすることが多いので、しっかりと確定させましょう。(執筆者:かわなか りさ)