以前のコラムで、不動産投資を始めるに当たっては、物件価格の1~2割程度の自己資金の準備をおすすめしました。
ある程度の自己資金を投入すれば、月々の返済額を抑えることができるため、多少の空室にも対応できるというのが、そのおもな理由です。
また、自己資金を準備することで融資が受けやすくなることも考えられます。
とはいえ、日本人の平均年収は360万円ほど。何百万円もの資金を準備するのは、とても大変なことです。
そこで、貯金が少ない人や年収が少ない人でも比較的容易に融資が受けられる不動産投資手法について、考えてみたいと思います。
賃貸併用住宅で住宅ローンを活用
建物に対する自宅用スペースが50%以上を占める賃貸併用住宅に対しては、住宅ローンの適用を申請することができます。
2016年11月現在の住宅ローンの金利は、変動金利で0.5%を切る銀行もあるなど、史上最低の金利水準が現在も続いています。
そのような低金利で融資が受けられることが、賃貸併用住宅に投資するメリットのひとつといえます。
そして、メリットはそれだけではありません。年収の20%程度の年間返済額に抑えれば、会社員に対する住宅ローンの審査はほぼ間違いなく通るはずです。
ほかの事業性ローンやアパートローンなどと比べても、融資が受けやすいことも大きなメリットとなるでしょう。
デメリットや注意点は?
その一方で、賃貸併用住宅ということで、賃貸用のスペースは建物の50%以下に限られてしまうというデメリットもあります。
そこで大切になるのが、どのくらいの家賃収入が見込めるかということ。せっかく低利で融資を受けるからには、ある程度のキャッシュフローを確保したいところです。
物件を購入する際は、8割程度の稼働率で計算しても、家賃収入が返済額を上回るような物件を選ぶようにすることをおすすめします。
また、大家自身が賃貸併用住宅に住めば、それまで支払っていた家賃の負担がなくなることになります。
それまで毎月10万円の家賃を支払っていたとしたら、そこに住むだけで10万円のキャッシュフローを生み出すということになります。
それに加えて、ほかの不動産投資の手法では考えられない、住宅ローン減税という特典をも手にすることもできます。
新築なら低属性でも長期間の融資が受けやすい
保価値の高い新築物件も、融資を受けやすい不動産投資手法のひとつです。日銀によるマイナス金利政策によって、銀行が日銀にお金を預けるためには手数料が必要になってしまいました。
その結果、金利3%のアパートローンでも、お金を貸し出した方がマシだと考えるようになったのです。銀行はお金を貸したいわけです。
そうなると、十分な担保を提供することができる人にとっては、融資を受けるハードルは下がることになります。
融資以外に、新築投資のメリットとして挙げられるのが、高い稼働率を当面維持できるということ。新築・築浅というだけで5年くらいは、ほぼ満室の状態を維持できるでしょう。
築古物件を所有する大家と違って、経営努力をする必要もほとんどないでしょう。大家としての力量が試されるのは、それ以降ということになります。
または、古くならないうちに売却をしてしまうというのも、ひとつの方法だと思います。
新築のデメリットも知っておこう
考えられるのが、供給過多による将来の空室リスクです。
日本における空き家は820万戸といわれています。しかもそのほとんどを賃貸物件が占めているそうです。
そのような状態にありながらも、賃貸マンション・アパートの建築は止まらないわけですから、新築投資を行う場合は未来のリスクを見据えた対策が必要といえます。(執筆者:内田 陽一)